どくさい6

 それは、どくさいせいじでした。

総理大臣は、夢を、どくさいでかなえることにしました。
まず建築関係に大きな発言力をもちました。
そして議会内にも無言の圧力をかけました。
警察、地方自治体、教育委員会、宗教家……
じわじわと周りを固めていった総理大臣は、最後に歴史研究者を集めました。

研究者達は、総理大臣の突飛な願い事に最初は首を横に振っていました。
総理大臣が詰め寄ります。
会議は数時間に及びました。
歴史研究者たちは総理大臣の影響力と、今後の身の危険を感じて、憔悴しきった顔で
最後には総理大臣の願いを聞き入れるしかありませんでした。


その会議のことは、どの歴史にも記録されていません。
ただ、数百年経った後にも総理大臣のことは歴史に残っていました。
「歴代の首相の中でも、一番の美男子だった」と教科書にも記載されています。

総理大臣の夢はかないました。


end

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