ホワイト・スノー

 中学生のちーちゃんは、朝、不思議な音で目がさめました。
シャンシャンシャン、シャンシャン……。
鈴をたくさん振っているように不思議な音です。
ちーちゃんがそっとカーテンを開けると、外は一面の雪景色。
何もかもが真っ白です。
「うわぁ、雪だ!」

ちーちゃんは転げるようにして2階の寝室から降りていきました。
高校生のお兄ちゃんも少し興奮したようすで、パジャマのまま外を眺めていました。
「お兄ちゃん!今日はすごい積もったね!」
「積もったなぁ。今日は学校が休みでよかった、この中を自転車はとても無理だよ」

「あらあら、早く着替えてお父さんのお手伝いをしなさい。外でお庭と道の雪かきをしているから」
お母さんが二人に声をかけて、スキーのときに着るウェアを出してくれました。
「はーい!行ってきます!」
二人はいつになくいい返事をして、外に飛び出していきました。

 外では、お父さんが雪を大きなスコップでかいています。
「お父さん、手伝いにきたよ」
二人のこども達が声をかけました。「おや、ありがとう。でもこまったな」
「雪かきをするほど積もることがめったにないので、雪かき用のスコップはひとつしかないんだよ」
お父さんが少し手を休めて言いました。
それを少し離れたところで見ていた隣のおじさんが、
「おうい、うちにもう一本あるのを貸してあげるから、こっちもちょっと手伝ってくれ」
「よし、きた。じゃぁ、オレ行ってくる。ちーは遊んでいな。」
お兄ちゃんは腕まくりをすると、「おはようございまーす!」とおじさんに声をかけて走り出しました。

 銀世界、という言葉はよくわからないけど。
ちーちゃんはこの真っ白な世界がとても気に入りました。
庭の端っこに、小さく山を作り始めました。「なにをつくろうかな。うさぎかな。」
そこにお父さんがやってきて、「ちょうど良い、雪をどけるところがないからそこに積もうかな。」
お兄ちゃんもやってきて、「そうだ、皆でカマクラ作ろうか。兄ちゃんと父さんがつんでやるから、ちーは穴を掘って。」

 「みんな、おモチが焼けましたよ。」
お母さんの声がしても、誰も戻って来ません。
「どうしたの?おモチが焼けたって言っているのに」
お母さんが外に出ると、庭の端っこに大きな山があって、そこで3人がニコニコ笑っています。
「おいで、おいで。」お父さんが手招きをします。
「4人入るように作るの、大変だったんだから」

お母さんはおモチを持って、カマクラへ行きました。
中に入ると不思議な明るさが広がっています。
「お母さん、雪のお城の中に入るの夢だったのよ」
お母さんがつぶやきました。4人はなかよく、雪とそっくりな白いおモチをたくさん食べたのでした。


end

つづけて「ブラック・スノー」をどうぞ。

(c)AchiFujimura 2002/12/10


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