「カフェ・カシス」のマスター、カシスさんにはよく手紙が届く。
この店に来たことがある人からの手紙だ。
今日も手紙がきた。
差出人はジョン・ホワイト。彼はその名の通り白い服をいつも着ていました。
「おひさしぶりです、マスターカシス。
僕はこのほど、大変なことをやらかしてしまいました。
こないだちょっと声をかけた、白い服の美女がぼくを無視したので、
かっとなって車でひき殺しちゃったんです。殺すつもりはなかったんです。
でも、僕は慌てませんでした。だって、殺すつもりはなかったんですから。
トランクにいつもいれてある、白のスプレーペンキを出してきて、死体にかけました。
血も肌も髪の毛も、真っ白になりました。
それは奇麗に、真っ白になりました。
あんまり奇麗に真っ白になったので、ついそれを持ち帰って部屋に置いておいたのが
間違いだったようです。あっさりと警察に捕まってしまいました。
また、刑務所から出ることが出来たら、真っ白なスーツでカフェ・カシスに行きたいと思います。
どうぞ、お元気で。
ジョン・ホワイト」
でも、カシスさんはその手紙を読むことは有りませんでした。
読まずに食べてしまったのですから。
end
|