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まんがを描く話:4


 「まんがを描く話」も第4回目、今回が最終回となります。長いぞ。
高校受験の前の日も絵を描いていた私ですが、無事高校には受かりまして(笑)楽しい高校生ライフを送っていました。
男子バスケットボール部でマネージャーなどをしつつ、イラストを書いては以前からやっているように、コピーして数冊だけ冊子にして遊んでいました。
そのうち、クラスの友だちが同じくまんが好きでまんがを描いていることを知り、3人で絵を描いては見せあっていました。

 絵は描くものの、まんがはあまり本腰を入れて描いてはいませんでした。
その頃、バスケ部マネージャーの先輩と、授業中に描いた手紙をやり取りするのがマイブームでして、 休み時間のたびに先輩と手紙を交換していたのですが、
そこにバスケ部の部員が出てくる4コマまんがやイラストを書いていたところ、先輩に大好評で
「自分の部屋に、全部貼り付けてあるの」と嬉しい?お言葉を。

 調子に乗って、清書して!原稿用紙に描いて!なんと、オフセット印刷で自費出版してしまったのです!
(たった一人、先輩に見せるためです……誕生日プレゼントだったの)
もちろん印刷所に頼んだわけですが、お金はあまり無いので、一番安いプランで基本料金内の装丁。それでも7000円以上したはず。
最小部数の50部すりましたが、販売したわけでもないので予備に貰った10部すらはけず、未だに50部以上の在庫が。
それを2年連続で出してしまったので、自宅には「バスケ部の明日」という身内ネタの個人誌が100部以上あるわけですね。
実家の親が気に入ってて、たまに読んだりするそうです。私もたまに読みます。
この自費出版、お金などいろいろもったいない気がしますが、出しておいて良かった。
良い思い出です。


 ここからが高校生活一番の山場。雑誌への投稿に燃えた時期です。
前述の、クラスのまんが友だちと「雑誌にまんがを投稿してみないか?」という話になりました。
時期はなんと高校二年の10月。普通なら進学・就職と忙しい時期でしょう。なにを考えているんですか私は?
以下、その投稿作のあらすじと思い出・参考画像大公開コーナーです。



「SugerBoy」32p 1995年2月 りぼんNew漫画スクール
結果:307回Aクラス(スペード)
参考画像(74KB)
 学校の名物は、身長が2m以上ある女子高生「内山美麻」。彼女の悩みはやっぱりその高い身長、
 自分より背の高い人が好みだがなかなかいない。
 学校で一番背の高い男子生徒「野沢先輩」だって美麻より背が低い。
 美麻の憧れはその野沢先輩なのだが、美麻のおさななじみの豊栄くんは美麻のことがずっと好き。
 しかし、豊栄くんはとってもチビだった!?
記念すべき第一作目。投稿サイズ(B4)の原稿用紙にも慣れず、ひたすら白い画面構成。
参考画像は、中でも一番華やかな?ページを拾ったので、その華のなさをわかってもらえるでしょう。
タイトルは思いつかなかったので、考えていたときに流れていたユニ○ーンの歌の題名から。いけませんよ、盗用は。
りぼんからの評価は、「絵柄は個性的だが少女まんがに向きそうも無い」「ギャグセンスはある」「手抜きの感じがする」などなど。 「ギャグのセンスに光るものがある」などお褒めの言葉も少々頂きました。
32ページもあるのに、あまり盛り上がらず印象に残るエピソードが無いところが良くないですねえ。
ちなみに、「Aクラス」は特に良い成績ではありません。まあ、普通って感じです。



「只今マンガ家修行中!」15p 1995年3月 少年ガンガン
結果:落選
参考画像(90KB)
 *あくまでギャグでフィクションです*
 高校生美少女人気マンガ家「藤村阿智」さんとそのアシスタントの「達くん」は学校で噂の的。
 突然サインをねだられたり、まんがの先を聞かれたりと大変。
 ところが、「昔のトラウマからまんがが大嫌い」な学校長が二人に目をつけた……!?
 *あくまでフィクションです(笑)*
なんかもう、「コレを投稿するか!?」って言う内容。
だったらもっとはじければ良いのに、はじけきらずに中途半端な印象。
無言で原稿が帰ってきただけでした(笑)(ガンガンは批評などはしてくれなかったので)



「鏡の笑顔」19p 1995年4月 ぶ〜けまんが家養成コース
結果:200回52位
参考画像(43KB)
 喫茶店の窓ガラスの向こうで笑う美少女に一目ぼれした少年。
 話を聞くと、彼女はナルシストでガラスに自分を映してうっとりしているとか。
 彼女にアタックしても、成功した人は未だにいない。少年は彼女に告白したが
 「世界で一番きれいな物を知っている人じゃないと駄目」と言われてしまい……
52位、とありますが、コレ実は当時の最下位。ある意味すごい。
りぼんに送ったまんがとはぜんぜん違って、かなり暗い話で死にオチ(死んで終わる)。
大ゴマで背景の少ない雑な仕上がり、なんと一週間で描いたらしい(そう記録に書いてある)。
ぶ〜けからの評には「女の子が病的、男の子にもその病気が移ったように見える」と。



「すべて心配」18p 1995年6月 りぼんNew漫画スクール
結果:311回Aクラス(スペード)
参考画像(67KB)
 あこがれていた「秋男君」に告白して、見事うまくいった春子ちゃん。
 初めてのデートにドキドキする春子ちゃんだが、元来の潔癖症にくわえ
 秋男君が心配でたまらない彼女は、彼の行動をいちいち制御してしまう……?
同級生に「書き込んであるように見えるけど、印象が白いね」と言われた作品。
それだけメリハリが無いということでしょう。
『水道水には塩素から作られたトリハロメタンって言う発がん性物質が多く含まれているのよ、危険だわ』 って、どんな少女漫画なんでしょ(笑)
りぼんからの評は、「イマイチ盛り上がりに欠けた」「ストーリーに比べて絵が未熟。練習すること」 「目の書き方が良くない、もっと丁寧に」「設定は新しくて良いが、それだけに満足せず広がりをもたせよう」など。
私はそんなつもりなかったんだけど、「ギャグマンガ」として評が書かれていました。 (前回はチェックのついてなかったギャグの項目にチェックがついていた)



「常夏の夢」16p 1995年7月 ぶ〜けまんが家養成コース
結果:204回33位
参考画像(55KB)
 南の島にすむ「ユリ」は、「雪を見たことが無いのはオマエだけ」とからかわれる。
 おさななじみの「ケンジ」が、「いいものみせてやる」とユリをつれて海の中へ……
なんとか、最下位は脱出した模様。
 海の中には雪のように白いものが降っていて、それは「マリンスノー」だとケンジはユリに説明する。
この「マリンスノー」、ドラえもん好きの人は名前でぴんと来るでしょうけど、のび太が深海に潜ったときに ドラミちゃんが「それはマリンスノーよ」と説明したアレのことです。
自分でも良くわかってないけど、自分のマンガに使ってしまいました。これも良くないですね。
ぶ〜けからの評は、「画力とセンスはまだまだ。すてきな表現工夫を身に付けよう」 「2人がどんなすばらしいラブ・ワールドを築いたのかをみせなくては」など。
「ラブ・ワールド」って……



「ヒロミくんに蛮!」8p 1995年8月 少年ジャンプ 第一回ギャグキング
結果:普通に落選
参考画像(65KB)
 学園一のチョー美人、「まなみちゃん」からヒロミ君にラブレターが!
 トイレでこっそり見てみると、「ヒロミ君に蛮してます」と描いてある。
 恋でも、変でもなく、「蛮」?たんなる文字の間違いか、それとも……
『蛮は私に勇気をくれるの。だから……私の蛮人になって!』
コレ結構気に入ってます(笑)でも原稿は手元に無いです。
(少年漫画系はほとんど返却してくれないんだよねえ)
絵はひどいもんだけど、テンションの高さがいい感じで、このときにしかかけない勢いで書いてるなぁとほのぼの見てしまいます。



「庶民のグルメ」10p 1995年9月 少年ジャンプ第一回ギャグキング
結果:当たり前のように落選
参考画像(7ページ掲載)
 バスケ部部員の4人だけど、今日も部活をさぼって飯話……
 そんな4人の好みはいたって普通、庶民的?
これまたすごいテンションで描かれている作品。3ページを除いて、漫画がアップされているので興味のある方はご覧ください。
ただ、普通に、目玉焼きをご飯に乗っけて食べる話などを繰り広げる4人。
キャラのモデルは私の所属していたバスケ部の部員たち。名前も本名(の一部)、なんと話の内容も実話。
本当にこういう会話をしていたんですね。
最後の方で出てくるマネージャーの女の子は、名前が私に似ていますが顔は似ていません(笑)



「新夫の決心」20p 1996年2月 りぼんNew漫画スクール
結果:319回Bクラス
参考画像(80KB)
 新妻がいれば新夫もいる?
 22歳、新婚の高倉正彦は、妻・まどかを甘やかしているのが男らしくないのでは?と悩み始め、
 妻に厳しく接することを決心する。
 会社のお局「夢井さん」の後押しもあって、男らしいことをしてみるが
 全てが裏目に出てしまって……。
 コレ、自分では好きなんですよ。というか、このリストで後半のほうのギャグに走ってる漫画全部お気に入り。
でも、結果を見てもらえればわかるように、りぼんでは自己最低のBクラス。
これは主人公が22歳でしかも男・会社員という設定が良くなかったらしい。さらに、参考画像のとおり、 線が太く妙な書き文字が多い、少年漫画のような画面構成になっていて、少女漫画らしくないんですよね。
りぼんの評は、「個性的な絵だが児童少女漫画に向きそうも無い」「ペンタッチに迫力はあるが、繊細さが欲しい」 「りぼん読者向けかどうかは別にして、話はコメディとして面白かった」「少年漫画のような画面で小さな女の子達に敬遠されるかも」 「見せ場のコマ割にもっと工夫を」など。
 ちなみに、参考画像の一番上のコマの女性は、「夢井さん」高校の国語教師がモデル。妻はもっとかわいく描いてる(笑)



「オレ達の仲間」34p 1996年10月 りぼんNew漫画スクール
結果:327回Aクラス(ハート)
参考画像(73KB)
 「バンド部」は結成1周年。きたる文化祭ライブに向けて、メンバーを増やそうと提案するボーカル・清里。
 しかし、入部希望者は楽器が弾けそうも無い小さな妖怪「カッパ」ただひとり?
 最初はカッパに反発してたメンバーも、がんばる姿を見て打ち解ける。
 カッパはステージに立った途端に大人気。カッパばかりが注目されて、
 「カッパのいないバンド部なんて誰も見ない」とまで言われる。
 そんな中、ライブ直前にカッパが疲労で倒れてしまった!?
中学時代からあたためていたキャラクター大活躍。新メンバーカッパも加わり、さらににぎやかに。
サブキャラのつもりで出したカッパですが、批評シートには主人公となっている……
りぼんからの評は、「絵:基本は出来ているが、力不足。魅力アップを」「絵柄に華やかさが無い、少女漫画としては物足りない」 「ストーリーは、ユニークでオリジナルな感じが楽しかった」「カッパとバンドの付き合いだけではつまらない、 恋なんか取り入れたらもっと楽しくなったぞ。話を膨らませよう」
なんだかフレンドリーな評でした。私の作品にいつも、少女漫画だから恋を絡ませろって 言う批評がつくのに納得いかなくて、この作品を最後にきちんとした漫画を書いていないんですよね。 書けなくなったというか。言い訳ですけどね……。

 ちなみに、りぼんの「Aクラス(ハート)」ってのは、「ストーリーに比べて絵が良くない」という印。 「ダイヤ」が絵に比べてストーリーが良くない、「スペード」は絵・ストーリーともに良くないという印でした。



 長かった。こんなところまで読んでくださった方がいたら、お疲れ様でした。
漫画を描くのは好きで、今でも描いてるけど、あまりまとまった作品にならないので なかなかお見せできないです。でも昔書いた作品なんか見てると、楽しそうなので、また描きたい気持ちにはなってきますねえ。
それでは、とりあえず自分の今までの「まんが道」はこの辺でおしまいです。
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