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MOTHERと私


 MOTHERというファミコンゲームが出たとき(1989年)は、私はまだ小学生だった。
どうしてMOTHERを、我が家で購入したのかはわからない。
当時、うちはゲーム長者で、ファミコンゲームは50本ぐらい持っていたし、 なかにはどうして買ったのか、本当に欲しかったのか、理由がわからないゲームもある。
懸賞であたったゲームは良く覚えている。MOTHERは懸賞であたったゲームではないので、 買ったゲームなんだろうという判断はついた。

 カセットのタイプはいくつかあって、例えばコナミのゲームはみんな黒カセットにオレンジのタイトルラベルだったり、 サン電子は白いカセットに青っぽい色使いのラベルだったり、ジャレコは黄緑や橙で側面に溝のついたカセットだったり
MOTHERは真っ赤でシンプルなカセットで、結構異色だった。

私の記憶では、
「ファミ通の記事で面白そうだったから買ったんだよ!」と弟が後で教えてくれた
「ファミ通見たら面白そうだったから私が買った」
という、相反する二つの記憶を思い出すことが出来るので、どちらとも判断つきかねる。

 とにかく、いつのまにか購入されていて、いつのまにか姉弟ではまっていたという話。
攻略本は2冊買った。何度もプレイした。


 MOTHER2が出た(1994年)のは高校生のころだった。
木村拓哉が出てるCMで、あのCMの頃はまだ知名度もそんなに高くなかったSMAPの木村君、
「MOTHER2のCMに出てるカッコイイ子は誰?」という問い合わせも多かったとか。

これもまた、
「MOTHER1が面白かったから買って来たよ!」と弟が言った
「MOTHER1が面白かったから絶対買おうよ!」と姉弟で盛り上がり、買った
という二つの記憶のどちらがホンモノか判断つきかねる。

 とにかく、私も弟もはまっていたので、どちらが買ってきてもおかしくなかったという話。
また攻略本は2冊買った。何度もプレイした。



 そして2003年、私も弟も社会人になった今、またMOTHERが発売された。
それはあの大好きな1,2両方が一つになったGBA用カセット。

私が京都で独り暮らしをはじめて、それでも実家から持ってきたものの中に
MOTHER2のサウンドトラックと攻略本があった。
不安で震えた夜も、寂しかった夜も、テレビがないからゲームはしないけど、攻略本と音楽であたためられていたの。
2002年には、インターネットで公開されているMOTHERがテーマになったMIDIの傑作を集めて聞いてみたり。
発売が発表された日は、踊った。マジで。
MOTHERを知らないという皆にも、「私の好きなゲームが、また発売されるんです!」と伝えた。

毎日MOTHERが気になって、早く6月20日になれば良いなんて、大人らしくない贅沢なことばかり考えてしまうので、
「MOTHER貯金」をはじめた。日記のページで金額を公開して、なんとか毎日100円貯めた。
MOTHER貯金をするんだ!という決意表明?を「ほぼ日刊イトイ新聞」にメールで送信。
「あなたの『MOTHER』のきもち」というコーナーでその決意は公表された。
一ヶ月前、京都のソフマップで初めてゲームの予約をしてみた。ちゃんと独りでできた。


そして6月20日、MOTHER貯金は6,000エンになった。100円玉だらけだったのを、たまに両替していたので千円札もあった。
ポーチにオカネと予約引換券を詰め込んで、いざ お店へ!と家を出た。
GBA用電池の充電もバッチリ、ただしゲーム機本体を会社へ持っていったりはしない。大人だもん。


お店に着いたは良いけど、なかなかゲーム売り場へいけない。もったいない気がしてしまう。
一通り、他の売り場を見てからゲーム売り場へ。
わあ、たくさん赤い箱が並んでる。レジにも人が並んでる。……赤い箱持ってる人が、いる!

私は予約の券を持って、レジの列へ並んだ。レジの天井付近から、「どせいさん」がぶら下がってる。
私が赤い箱を持って並んでいないことがチョット寂しかった。
皆に、私もMOTHERを買うんだ!って知って欲しいような気分になっていたからだ。
実際、私の前のほうに並んでいた女性は赤い箱を持っていて、一緒にGBASPを持ってる。
MOTHERをやるために本体も買うのかぁ。素晴らしい。

私と同じく予約の券を持っている人も、店員さんがレジの後ろの棚からMOTHERを出して渡しているのを見て、
「なんだ、みんな結局MOTHERなんじゃん!」ってにっこり。


そして無事に私もMOTHERを手に入れ、仕事に向かう。途中の本屋で、復刻した「MOTHER百科」を購入。
MOTHER貯金の残高は、この時点で557円になってしまった。7月にでる攻略本、8月にでるサントラはどうしよう?


自宅に帰ってきたのは9時半ぐらいだった。
ドキドキしながらGBAを覗き込む。
とりあえず箱を開けて、説明書を読む。もったいないから遊ぶまでの時間をなんとか稼ごうとしているんだけど、
結局我慢できなくて途中で説明書を閉じて、カセットを取り出した。
「ちっさ!」カセットのあまりの小ささに驚いた。そういえば、GBA用のカセットを見るのは初めてだ。(笑)

ヘッドホンを装着、スイッチオン。あのおなじみの音楽が流れて、1と2どちらをプレイするか選ぶと、
オープニングが流れる。ついつい最後まで聞いてしまう。

名前を付ける段階になった。
主人公にはやっぱり「あち」と着けてみた。例えば、告白されるのも、ほめられるのも、「あち」が良い。
女の子は本名で。(笑)それで良いのか?!友達は「レンド」。友達だし。もうひとりのお友達は「ダチィ」。友達だし。
そして、これが重要、「好きなこんだて」の名前を入力する。確か昔はステーキだかハンバーグだった。
今回はとりあえず「おうどん」と入れた。これでおうどんを毎日のように食べられる。

好きな献立で思い出すのは、昔何かの攻略本か記事で入力されているのを見た、「なまこライス」という謎の食べ物。
ついそっちを入力したくなったが、やっぱりやめておいた。
献立は重要だ、好きな物でも、本当に毎日でも食べたいものを入力することをオススメする。



楽しい。これからの毎日が楽しそうなのが楽しい。
私をゲームでこんな気持にさせてくれるのは、本当にMOTHERだけ。
少しずつプレイしたいと思ってる。あちこち寄り道していこうと思ってる。

ヘッドホンをつけると音は迫力があるが、ねっころがってゲームできない。
今日はスピーカーを買いに行こうかな。
これからも私の「MOTHERな日々」は、当分続きそうである。
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