-ブラックエホン-


3つめのおはなし

「よいこ、ねこちゃん」


「それじゃ、ままは、でかけてきますからね。」

「はあい、まま!」ねこちゃんはげんきよくいいました。

「とだなのおやつを、たべたりしちゃだめよ。ままがかえってきてから、おやつをあげるから。」

「はあい!まま」「ねこちゃんはいいこだから、やくそく、まもれるね。いいこでおるすばんしていてね。」

ままは、きょうはおでかけです。ねこちゃんはひとりでおるすばんをしていました。

ねこちゃんはすこしおなかがすいていたけど、とだなのおやつはたべませんでした。

おやつのじかんになっても、ままはかえってきませんでした。

でも、ねこちゃんはとてもいいこなので、とだなのおやつはたべませんでした。

つぎのひのおやつのじかんになりました。ままは、まだかえってきません。

ねこちゃんはきのうのよるから、おなかがすいてないていました。ままもかえってこなくて、おばけのゆめをみて、こわくなってなきました。

また、つぎのおやつのじかんがきました。ままはかえってきません。

ねこちゃんはほんとうによいこなので、とだなにはおやつがたべずにのこっていました。

かわりに、まどぎわのおはながなくなっていました。

それからなんにちもたって、おうちのいすや、てーぶるや、ようふくが、ぜんぶなくなってもままはかえってこないのです。

それでもてんしのようなねこちゃんは、とだなのおやつをたべませんでした。

「あしたは、ままが、かえってくるとおもうんだ。」

ねこちゃんは、きょうもおやつをがまんできたので、にっこりとわらって、じゅうたんのうえでまるくなりました。

そして、めをとじました。

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