歌わない、笛

ピースルスキーが作った笛は、ヘンな音をだしていました。
でも、ピースルスキーはがんばって吹き続けました。

たくさん吹き続けたので、いつのまにか指でふさぐ穴も削れ
吹く穴も削れ、
まったくの偶然が重なった結果
ピースルスキーの笛はとても素晴らしい音を奏でるようになったのです。

その音色は聴く人の心を和ませるだけでなく、
笛を作ったピースルスキーの心をも躍らせ、驚かせました。

しかし、ある日突然笛は歌わなくなりました。
笛が折れてしまったわけではありません。
ピースルスキーが笛を置いたのです。

偶然出来た音色だから、笛を吹き続ければいつか消えてしまうだろう。
この笛の音をいつまでも聴きたい。でも、聴けなくなるのがいやだ。

ピースルスキーは、今も迷っています。
まだ歌える笛の命は、希望に奮えているというのに。

end