サンタになりたい


 街の景色もクリスマスに近づいてきた頃、
私は孫へのプレゼントを考えていました。
私の子ども達も大きくなって、孫がたくさんになって、
毎年この時期は大変です。
でも、楽しみでもあります。
私が孫達のおじいちゃんから、サンタへと変身する、楽しいイベントだからです。

 私はまだプレゼントを考えていたのですが、5歳になるちいさな孫が
ストーブのそばで寝そべって、おもちゃ屋さんのチラシを楽しそうに眺めていました。
「何を見ているの?」私はしらじらしくも、孫に尋ねてみました。
「サンタさんがなにをくれるか、考えているんだよ。」
子どもが無邪気にいいます。
「そうか、なにが欲しかったかな。」私は直接、孫から希望を聞くことにしました。

 孫がいろいろ悩みながら欲しいものを小さな手で指差して、
どうしてそのおもちゃが欲しいかを一生懸命教えてくれました。
こんなとき、私の目は細くなりっぱなしです。

 「おじいちゃん、サンタさんってどんな人なの?おじいちゃんもあったことある?」
孫がそう聞いてくるので、「ほら、このおじいさんだよ。」と、チラシの端っこに書いてあった
サンタの絵を指差して教えました。
「サンタさんって、おじいちゃんなんだよねー。」
と、絵を見つめてうなづいています。

 「おじいちゃんが、僕ぐらいのときは、サンタさんも僕ぐらいだったの?」
「え?おじいちゃんが小さかった頃かい?」
そういえば、サンタさんは私が小さい頃からおじいさんの姿です。

 「そうだなぁ…サンタさんは、おじいちゃんが小さい頃から、おじいさんだったよ」
私が戸惑いながら、そう答えると、
「じゃぁ、僕がおじいちゃんぐらいになっても、おじいちゃんもおじいちゃんだね。」
孫はとてもうれしそうに、私にそう言いました。

そうだね。きみのことをずっと見守っていてあげたいな。
私も、サンタさんになりたい。

end