ねえ、あの人はどこへ行ったの? 最近、大好きだった近所のお姉さんを見なくなったので、お母さんに聞いてみました。 「天国へ行ったのよ。」 お母さんがそういうので、「天国っていいところなの?」とさらにたずねると、 「とってもすてきなところよ。」 お母さんはそう言いました。 「僕もいってみたいな。」 もちろん本気で、お姉さんがうらやましかったので、お母さんにおねだりすると 「だめ。」 と、怒られてしまいました。 お母さんが何で怒ったのかわかんないけど、 いいところなら行ってみたいし、 お姉さんが帰ってきたら、どれぐらい楽しいところだったかきいてみようと思いました。 前にも、お姉さんが楽しかったと教えてくれた遊園地、本当に楽しかったんだもん。 でも、お姉さんは帰ってこなかったんだ。 僕は寂しくなってきました。 お姉さんが、天国が楽しくって楽しくって、仕方がないので、帰ってこないのだと思いました。 きっと僕のいるここより、ずっと楽しいんだろう。 僕と一緒にいるより楽しいんだろうな。 そうじゃなかったら帰ってくるはずだもん。 僕は、なんだか遠くにありそうなイメージの天国を思って、泣きました。 お姉さんが天国から帰っては来ないことが、わかったような気がしたからです。 寂しいけど、そこが楽しいところなら。すてきなところで、 お姉さんも幸せに過ごしているなら。 お姉さんが帰ってこないことを無理やり納得することも出来るのです。 でも、お姉さん、 僕はどんなにお姉さんが幸せだったとしても、今日僕の目の前にあるキレイな小さい花などを、 お姉さんと一緒に見られないことが、声がきけないことが、寂しくて仕方がないのです。 end
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