どくさいのおわりに
総理大臣は、夢を、どくさいでかなえてきました。
そんな総理大臣にも孫がうまれ、たまの休日は孫とべったり遊んですごしていました。
無邪気な孫はまだ小学校にあがったばかりで、何でも知りたがる年頃です。
総理大臣と孫は、外務大臣から送られた地球儀を囲んで、いろんな国の話をしていました。
「ここが、にほん」
「そうだね、よく知ってたね」
「にほんのうしろがわは、どうなってるの」
孫は、地球儀をくるっと回しながら、ききました。
「教えてあげる。おじいちゃんが、キミだけにこっそり、教えてあげる。
だれにも、ママにも言っちゃいけないよ……」
それはにほんの裏舞台。おじいちゃんと、その周りの数人しか知らない秘密のお話。
孫は熱心に聞いています。
それがどくさいの終わりでした。
「貴方の世界は終わりましたよ、総理。不自由な闇から這い上がってきた貴方でしたが、
残念ながら、その闇に戻っていただくことになりました」
外務大臣――いえ、今の総理大臣が元総理大臣に声をかけました。
「一体どうして、その秘密をお前は知ったのか」
穴の中から元総理がぼそぼそと問い掛けます。
「地球は全て、お見通しだったということですよ。それでは、さようなら」
end
(c)AchiFujimura 2003/11/25