前略 駅長様 いつぞやは大変ご迷惑をおかけいたしました。 このたび、再度ご迷惑をおかけすることをお許しください。もうこれっきりにするつもりです。 先日お教えいただいたように、妻の機嫌が悪くなるたびに、恋文を書いては妻に渡すおまじないを続けましたが、 最初の数回はよく効いたものの、このところちっとも効果がありません。 それどころか、火に油を注いだように怒り出す始末です。 内容がいつも同じようなことと、実際の私とのギャップが気にさわるようなのです。 しかし、再び駅の皆さんにご迷惑をおかけするわけにも行きません。 そこで、私、あたらしいおまじないを考案しました。 月の光に三十分間あてた便せんに青いペンで手紙を書き、それを妻に見つからないように家のどこかへ隠すのです。 二十四時間見つからなければ成功です、妻の機嫌はたちどころに良くなるのです。 お世話になりました駅長様へ進言です、駅長様のおまじないは効果がありません。 もしも、あの手法で奥様の怒りを静めておられるなら、そのうち効果がなくなると思われますので、 私が今回お教えした方法を今後はご利用になってください。 それでは、ごきげんよう |