世界は平和になりました。 でも、宗教戦争や内戦が続く場所はまだまだ多いようです。 戦いを望む神様。 1573、1572、1571・・・・ その場所には子供たちがたくさんいました。 みんな親がいないのです。死んでしまったのです。 守ってくれる大人はいないし、さむかったりあつかったり・・・。 おなかがすいたし、病気が蔓延するし、みんなどうしたらいいかわからないのでした。 956、955、954・・・・・・ 「なぁ、みんな。オレ、昔聞いたことあるんだ。……ママから。」 「なにを、なにを。」 みんなで集まって、布をかぶって話をしていた時でした。 「天国ってのがあるんだよ。すごい良いところだって。」 「どんなところ?」 「戦争が始まる前の、この国みたいなところだってさ。花が咲いてて、銃も無くて、 あったかくて、おなかもすかないんだって。」 「すっげえ。いきたいな、どこにあるんだろ。」 「大人がいたら、きっとつれてってもらえるんだけどなぁ。」 「そうだね……。行きたいね。天国」 男の子も、女の子も、小さい子も大きい子もわくわくして想像を膨らませました。 どんどん天国はあこがれの所になったのです。 554、553、552・・・・・ その次の日は良い天気でした。でも、 あらしの方がよっぽどマシです。寒くて、濡れて、大変だけど 空から雨しか降ってこないからです。 晴れた日は雨ではなく、鉄の固まりが落ちてきて光と爆音につつまれます。 289、288、287・・・・・・ 子供たちはおびえて固まっていました。 あまり固まると、余計に見つかりやすいのですが、こわくてこわくて そうするしかなかったのです。 そんな子供たちに、すてきな贈り物が届きました。 差出人は分かりません。一枚、短い文章の手紙がついていました。 「なんか、書いてあるぞ!!」 それは英語です。子供たちの中で唯一、学校に通っていたことのある子が その手紙を手に取りました。 「…………『君たちへ、幸せの贈り物です。早く幸せになれるように。』 だって!すげえや!」 34、33、32・・・・・ それは小さい箱です。かわいいチェックの包装紙にくるまれています。 子供たちがみんな箱の周りに近づきました。 まだ、誰も開けようとはしません。うれしすぎて、なかなかひらけないのです。 開くのがもったいないような気もするのです。 あつまった子供たちの後ろの方で、小さい子供がその贈り物を見ることが出来ないと ワンワン泣いていました。 一番大きい男の子が、その子を抱っこして、贈り物を見せてあげました。 他の子も、後ろの方の子供を呼んで、贈り物を見れる場所に連れてきました。 カッチカッチ。 1、 何が起きたのかなんて分かりません。 一番小さい子が抱っこしてもらって、贈り物に顔を近づけた時でしょうか。 素敵な贈り物が粉々に破裂しました。 ・・・・・・・・・・何が起きたのかなんて、分かりません。 ただ…… いまごろ、あの憧れの天国で、すてきな贈り物を抱きしめているのでしょうか。 それとも。 ・・・・・・・・・・・ end |