それはどくさいせいじでした。 小さい頃に親とわかれ、ひとりぼっちでそだってきた総理大臣は、 人より誰より勉強をしてきました。 そしてついに総理大臣になりました。 総理大臣は、夢を、どくさいでかなえることにしました。 総理大臣は、国民のDNA情報とすべての個人情報を一括して政府で管理することを決めました。 素敵な計画です。 これで有名人の親戚が増えるという謎の現象が起こらなくなりました。 犯罪者もすぐにわかるようになりました。 すこし問題もあったけど、みんな喜んでいました。 … 総理大臣は、反対派の暗殺者にねらわれているにもかかわらず、 こっそり一人で外出しました。 そして、一人で暮らしている老婆の家を訪ねました。 手には、老婆のDNA情報が握られていました。 暖かい光とともに、ドアが開きました。 「こんばんは」 「はじめまして、お母さん」end |