蜘蛛がいました。少女でした。 少女の蜘蛛は、自分が大人になったつもりでいました。 蜘蛛はなにも食べていないのです。 おなかがすいてたまらないのです。 蜘蛛はたくさんコグモを産めばいいと思いました。 私は大人なんだから、コグモを産める。 たくさん産んだら、それを食べればいいじゃない。 たくさんの子蜘蛛が産まれました。 少女だった蜘蛛は、お母さんになりました。 お母さんになった蜘蛛は、せっかく産んだコグモを食べることが出来ませんでした。 コグモたちは、ワイワイ言いながらみんなどこかへ行ってしまいました。 また産めばいい。次こそ、食べよう。…半分くらいならいいじゃない。 2度目も、やっぱりたくさん産まれた子蜘蛛を食べることが出来ませんでした。 コグモたちは、ガヤガヤ言いながらどこかへ行ってしまいました。 3度目のコグモこそ食べないと、自分は死んでしまうと思った蜘蛛は 最後のちからを振り絞って少しのコグモを産みました。 3度目のコグモを産んだ時、母親だった蜘蛛はちから尽きました。 …次の日には、その場所に母蜘蛛の姿は無くなってしまったのです。end |