偽者


キンはちやほやされていました。ご機嫌な毎日です。



何故って、キンは凄く奇麗だったから。

黄金色に輝いています。

「奇麗だ、奇麗だ、」と皆が近寄って来ます。

でも或る日、誰かが言いました。



「キンは鍍金だ。本物では無い」

皆は徐々にキンから離れて行きました。

「鍍金だ。鍍金だったんだ」



キンはがっくりと肩を落としました。不機嫌な毎日が訪れました。



でも或る日、誰かが言いました。

「君は鍍金の本物じゃないか」

「そうだ、僕は本物の鍍金なんだ」

キンの鍍金はとても奇麗です。本物に負けない程。



是だけで胸を張って行くことが出来るのです。



end