鳥は毎日お祈りをかかしません。 「今日も飛べることを幸せに思います。」 天使は鳥の羽を背中に生やしているといわれるけど、 本当のところは天使の羽を鳥が生やしているのです。 「今日も飛べることを幸せに思います。」 小鳥のロジメはうつむいていました。 大事な羽を大きな鳥に引っかけられて、傷つけてしまったからです。 もう、飛べない。だってただの傷じゃない、 もう羽は体にくっついているのが精いっぱいなのです。 ロジメはお祈りをかかしません。 「今日も飛べることを幸せに思います。」 本当は今日は一度も飛んでいません。 でも、目をつぶればいつでも飛んでいる気持ちを思い出して、 祈りをささげずにいられないのです。 「今日も飛べることを幸せに思います。」 飛ぶことのできないロジメがお祈りをささげられることはあと何回あるのでしょう。 飛べない恐怖から逃れるように、ロジメはつぶやきつづけます。 「今日も飛べることを幸せに思います。」end |