未来がわかれば

中学生のミクちゃんは、今日も昨日と同じように、自分のお部屋の椅子に座って1日をすごしました。
明日も、椅子に座って1日をすごす予定です。
何もすることがないし、なにもしたくないのです。
こんな時に、生きていても楽しくない、生きていても仕方ないと感じるのです。

「未来の自分にあえたらいいのになぁ。
そしたら、未来は楽しいか楽しくないかを聞いて、
楽しくないんだったら死んじゃえばいいし。
楽しいんだったら死なないで生きていればいいんだし。
タイムマシンがあったらなぁ。」

そのとき、後ろの空気がグニャリと歪みました。
そこからしらない女の人がでてきます。
ミクちゃんはおどろいて部屋の隅っこまで逃げました。

「逃げなくていいのよ、ミク」
その女の人はミクの名前を知っていました。
「喜んで。私、37歳のミクよ。未来からあなたに会いに来たの。」
ミクはとっても驚きました。
「ええっ!今、未来の自分にあえたらいいのになっておもってたところだったの!
おしえて!未来の私、楽しい?幸せ?」

37歳のミクは、やさしく微笑むと中学生のミクに言いました。
「残念だけど、37歳になるまで、いいことも変わったことも、楽しいことも無いわ。
…でもね、こうしてタイムマシンができたらいいなって言う夢は叶ってるじゃない。
いまあなたが死んでしまったら、こうして未来から会いに来ることも出来なかった」

「だから、これから先私はもっと生きていようと思うの。
楽しいことも、きっといつかあるし、幸せにもなれると思うんだ。」

中学生のミクはうなづきました。
「そうだね。私も、何も出来なくても生きることをしてみようと思う。」
37歳のミクはニッコリわらって、「そう、そのいき!頑張ろうね。」と手を握りました。

37歳のミクは、名残惜しそうに歪んだ空間へ戻っていきました。
そして、空間の歪みはなくなって、部屋はまた静かになりました。

「37歳の時にタイムマシンが出来るのかぁ。それを楽しみにしたら、
あしたも”ただ生きているだけ”だったとしても良いかもしれない」
少し、”ただ生きてるだけ”でもいい、”でも それだけじゃない”自分を探そうと思いました。


 その頃、37歳のミクは叫んでいました。
「中学生の私!お願いだから生きないで」

37歳のミクは、タイムマシンで自分の時代に帰る時に事故にあって、
時間のよどみに落ちてしまったのです。
そこは時の流れのない、永遠という名前の空間です。
ここで永遠に、「一瞬」をループして繰り返し続けるのです。

お願い。私を助けて。もてあますほどの時間に囲まれて苦しんでいる私を。

end