お魚のおかあさんは卵をたくさん産みました。 それはもう、たくさんの卵です。2度目の産卵でした。 おかあさんは卵を見つめて考えました。 「つまらないわ。前にもこうやっておんなじ卵を沢山産んだのよ」 カニのおかあさんも卵をたくさん背負っていました。 たくさんの卵です。 でも、カニのおかあさんは憂うつでした。 「おんなじ子どもばっかり産まれるんだわ。ちょっとつまんないわ。」 お魚とカニはばったり出会いました。 おたがいたくさん卵をもっていました。 そこで、二人は同時に同じことを考えました。 「卵を、ひとつ交換しない?たくさんあるんだからちょっとぐらい。」 話し合いはすぐに終りました。 1尾と1杯は、1個違う卵を手に入れました。 そのうち、魚の卵たちの中からカニが、 カニの卵たちの中から魚が1つ産まれました。 最初は、変化があってうれしいと喜んで子どもを連れ歩いていたのですが、 そのうちまわりの声が気になってきました。 世論ではとても親とは思えないと軽蔑する声がブーブーと上がったのです。 そのうち、だんだんおかあさんも手放した子どもが気になってきました。 「元気にやってるかしら。いじめられてないかしら。」 世間の嘲笑も気になるのですが、てばなしてしまった子どもがもっと気になるのです。 おかあさんたちは、それぞれの子どもを背中にのせるとこどもを探す旅にでました。 生涯をかけて、しにものぐるいで探すつもりの旅です。 気まぐれを責める見えない敵に追いかけられながら。end |