イナクナル 誰かイナクナルということ。 その人が増えなくなること。 その人の想いも増えなくなること。 その人が関係したものも増えなくなること。 あまりに悲しい日常が訪れて、私たちは悲しい想いを 過去の日常を演じることで吹っ切ろうとがんばるのだけど。 ある日はみがき粉がおわって、新しいのを出してきた時 「あの人が触ったこともない、使ったことのないはみがき粉なんだ」 と感じた時など。 靴が少ない玄関に、違和感を覚えたりした時など。 目には見えないけど、あの人が踏みしめた砂さえも風がどこかへ運んだ時など。 とにかく、あの人の関係したモノが日々消えていく空気を感じてしまうので いつまでも胸が締め付けられてたまらないのです。 |