キタバチの思い出キタバチ、北白川バッティングセンター、スポーツランド北白川と呼ばれた京都市左京区の複合アミューズメント施設と私の思い出 私は京都に12年間住んでいて、そのうち11年間を京都市左京区で過ごした。今は引っ越して東京にいる。 東京に引っ越したかったわけではなく、京都にいる理由がなくなり、それでも「なんとか京都を持って東京に行きたい」と思いつつ 東京へ引越してきたぐらいの京都好きなのである。 観光地とか神社仏閣には詳しくないので、京都を観光地的に好きだと言うだけではなく、住む場所として歴史や文化、光と影、 旧と新が入り混じった町並みや、動かなくて変わらないものがある一方でどこにもないあたらしい物を面白がるような風潮が、 私にとって京都を魅力的なものにしている。 でも京都もいつまでも同じではないんだな。 私が好きだった場所のひとつ、キタバチが2011年11月28日で閉店したと聞いて驚いた。 「京都の面白いもの」で私がかならず人に語りたくなる場所がキタバチで、知られたくないけど教えたい場所なのだ。 ネットで紹介して「みんなもどうぞ」と知らせるのはいやだ。でも私自身が誰かに「こんな場所でね……」と説明をして、教えたい。 京都市内の「複合アミューズメント施設」としては結構広い。 中に入るとさらに、広く感じる。 どんなものがある施設かと言うと、私が覚えているだけでも アーケードゲーム、レトロゲーム、リズムゲーム、メダルゲーム、スロット、クレーンゲーム、 バッティングコーナー、ゴルフ練習場、卓球、ビリヤード、スポーツチャンバラ、囲碁・将棋、 漫画喫茶、コインカラオケ、カラオケボックス、プリクラ、ダイエットマシーン で遊べる(?)。ちいさな売店と、飲み物コーナー、カラオケの衣装貸し出し、自動販売機とオプションも充実。 私が主に遊んだのはカラオケ。 ここは一人でカラオケに行きやすい施設で。 値段も安い。激安ではないけど、十分安い。昼間なら30分160円ぐらいで、会員登録は必要なし。 お金と時間があればフラッと寄っていける。 上の写真がカラオケボックスの、部屋の中。なんかおかしい。 普通のカラオケより敷居が低くて入りやすいのに(ゲーセンとまるっきりくっついてるからかなぁ?) 中身は普通のカラオケじゃない。 【キタバチのカラオケの変わったところ】 ■部屋がすべてテーマに沿ったつくり・オブジェ群になっていて、ラブホみたいなパネル一覧から選べる(笑) ■最初は部屋のカギが閉まっているので、自分で開けて入る ■中から鍵が閉まっちゃうと開けられないので、フロントに電話しなくちゃいけない。携帯電話持ってないと閉じ込められる ■↑なぜなら部屋には受付への内線電話がないからだ ■飲み物とか、食べ物は受付に注文できないので、自分で持っていかなくちゃいけない(持ち込みOK) ■一応注文できる飲食メニューが部屋にあるが、それは近所の王将とピザリトルパーティー(つまり、出前をとれと) ■録音設備が充実。デフォルトで全室にカセットテープ・MD・CDへライン録音できる機材がそろっている ■ビデオ録画できる部屋もある ■大通り沿いに、大きな窓がある部屋もあるので、通りすがりの人に見てほしい人はカーテンを開けると目立つ ■一人で入れる部屋は基本的に配信システムが古い。かなり最近までLDカラオケだった ■終了時間のお知らせとかはない。(電話設備もないしね……)自分で時間をチェックする必要がある ちなみに私がお気に入りだった部屋は「癒しの秘湯」という名前の部屋。通信カラオケはDAMが設置されてる。 最新じゃないDAM。 秘湯にふさわしい壁の絵と、木桶と、木イスとすのこベンチが設置されている。 さらに上の写真のような、おおきな箱が設置されていた。のぞかないでくださいといかにもな注意書きがあるが…… のぞき穴からのぞくと、 延々ハダカの女性が露天風呂に入浴する動画を見ることが出来る なんだこれ……カラオケに必要ないし、付き合い始めの中学生カップルとかで見ちゃったら気まずいことこの上ないだろ また、同じ部屋にはこのように穴が開いており、隙間風では済まされない、ドライヤー級の強風が吹き出している。 なんの風だこれは。 癒しの秘湯のほかにも、マンハッタンの夜景風とか、スナックみたいなデザインの場所とか、カップルシートの部屋とか、 ミラーボールとステージがある部屋も。 この部屋はキッズ向けで親子カラオケにうってつけ。 私はいまでも一人でカラオケに行く。 でもそれはすべてこのキタバチから始まったのだ。 一人でたぶん、100時間以上キタバチに入り浸ったと思う。 女子トイレも変わってた。妙に広い個室で、個室の中に手洗いとハンドドライヤーが設置されていて 掃除もされてて快適。男子トイレは聞いたところ、普通らしいけど…… キタバチのカラオケに小さな楽器を持ち込んで、ちょっと演奏して遊んでみたり、 カセットテープやCDに取り込んだ歌を自宅で加工したり。 引っ越してしまった段階で、もう前のようにあそこで遊べないのはわかっていた。 それでもなくなると言うのは別の話だ。 私は東京に引っ越してきてもう4年近くになり、京都はいつの間にか私と距離感を色濃くあらわすようになった。 知ってる間柄のような、知らない同士のような。手探りで思い出さないと京都と昔のように仲良く出来ない。 そのつながりがまたひとつ消えてしまった。 2011年の8月にキタバチへ行って、まだまだがんばってる力士を撮影してきた。 (東京に引っ越してからも、キタバチには京都に帰ってくるたび遊びに行ってたのだ) 取っ組み合うのも申し訳ないほど青く塗装がはげている力士がかっこいい。 これも歴史だ。こんなになるまで誰かが遊んだんだ。 イスもぼろぼろになってるような物が多くあるんだけど、それだけいろんな人が遊んだんだ…… 2011年12月5日 |