ブログ「ホンヨンダ」に書いた記事のアーカイブです。ホンヨンダの記事
虫が好きな私にとってはタイトルからしてそそる本。
しかし、虫の本なら何でもいいというほど活字好きではないので、本屋でパラパラとめくってみる。
序説の「虫は虫である」という文章で、「虫とはにょろつくものである」から始まる多数の「虫とはなにか!?」説を読み進めていくうちに、これはおもしろそうだと購入してしまった。
そしてその序説の部分で私はまんまとだまされたわけだ。(笑)
リアルに描かれた登場人物と、少しミステリーな体験談風の文章に、すっかりノンフィクションだと思ってしまったんだよね。
最初の水虫の章でもまだあまり疑わなかった。東北地方の餓鬼が舐めとれば水虫が治るなんていう説にも関わらずだ。
「たむしによる自殺」なんていうのも「ヘエー」とか思いながら読んでしまった。
この辺は虫っていうか……目に見えないし、自分がたかられた事も無いから実感できなかったのかも(笑)
「プラスチックを食べるゴキブリを開発」というところでようやく
これは……もしかしたらジョークなんじゃ
と気がついた!(笑)
遅すぎる!(笑)
気付いてからはどんどん出てくる奇妙な虫とソレを取り巻く人間の様子がおかしくて、ずっと笑いっぱなし。
いかにも権威のありそうな架空の学者や雑誌名、本当は無いであろうソースの示し方などがリアルすぎて「やっぱり本当なのかも?」って幾度か疑ったよ。
ナメクジにも毛が生えましたというCMを流したらヒワイだといわれたという話とか、淫靡で面白い。卑猥だって言われりゃ卑猥だけど、卑猥だって気付かなきゃただの毛が生えたナメクジなんであって、みんな「卑猥だ」って気がついても「何処が?」って説明するのにためらっちゃう(で警察がわいせつ物として取り締まりたいけど躊躇してるんだよね)所とか、目に見えるようで楽しい。
哲学的な物も中にはあって、
「ゲジゲジはゲジゲジを食べるので、ゲジゲジだけで完結する」
「なめくじは病気のかたつむりだ」
という話は考えさせられるなぁ。
一章ずつが短いので、少しずつ読んでも小噺のように楽しめる。
電車の中で読んだら笑えてたまらなかったけど、電車の中でも楽しく読めます。
ただし挿絵が虫だったり、見ようによってはヒワイ(笑)なので周りに迷惑をかけないように。