2023年12月20日 読書感想文10本【 #藤村阿智自作紹介まつり 】

2023年12月、自作紹介まつり!

12月は毎日、自分の作品から1ジャンルにつきおススメの10作を紹介するよ。
どんな作品があるかぜひチェックしてね。

これまで紹介した作品の記事はこちら!#藤村阿智自作紹介まつり まとめ

読書感想文10本、23000文字

読書感想文というかメモをブログに書いていた。

seesaaの「ホンヨンダ」というブログの記事だけで270本、他にもここなどで感想文を描いているのですがその中から10本だけ選んでみた。でもこの記事の文字数が23000文字になってしまった。

最近全然こういう文章書けてないんですけど、私は自分の読書メモが好きなのでまた書きたいですね……2023年は読書自体がとっても少なかった。これは良くないね。

いちおう、ざっとどんな本を紹介しているか一覧。感想は記事を書いた当時のものです。いまは感想や自分の考えが変わっていることもあると思います!

【1】放課後よりみち委員会(桑田乃梨子)1~4巻 【2】ドラえもんで英単語DoRa-TaN【3】アサッテの人(諏訪哲史)【4】累犯障害者(山本譲司)【5】2000年代の「戦争と漫画」、その一部【6】1984年(ジョージ・オーウェル)【7】家族が片付けられない(井上能理子)【8】私はペンで世界を変える(堂本奈央)【9】となりの家の少女(ジャック・ケッチャム)【10】好きな漫画ベスト10

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【1】

2014年02月21日

放課後よりみち委員会(桑田乃梨子)1~4巻(完結)

私の好きな漫画家さん作家買い対象5人に昔から不動のランクインをしている桑田乃梨子先生の最近の作品。
2013年に4巻にて完結。
以下ネタバレありの感想。

放課後よりみち委員会 (1) (バーズコミックス デラックス)
放課後よりみち委員会 (1) (バーズコミックス デラックス)

出だしは唐突に感じる。
とにかく主人公・姫野(男子高校生)は入学早々、学校で異世界への扉を開いてしまった。
その世界はのほほんのんびりとしていて居心地がよく、すでに先客のトラとクマががいた……

姫野と、虎先輩と熊先輩、あとときどき鳥先輩とともに、10年前にこの異世界に行ったまま帰ってこなくなった男子生徒を探すというお話。
男子生徒は学校の現国教師・渡先生の元同級生で友達だ。渡先生は現国研究会という部活を隠れ蓑に「特別捜索委員会」を設置し、異世界に行くことができる生徒を集めて友達の探索を命じているのだった。
異世界には謎の黒ずくめの男の人も登場。その男が先生の友達か!?それとも関係ない一般人なのか!?

桑田先生のマンガを読んでいる人にはいつものおなじみだけど、とくに大きな謎や盛り上がりがあるでもなく、
登場人物たちはこの異世界でのんびりダラダラしている。

私などはもう20年以上桑田マンガにどっぷりなので、ひたすら、桑田先生のキャラクターたちがダラダラしてるのを観るのが楽しいんだけど、もう客観的に観ることができなくなっていて、ほかの人には楽しいんだろうか?とわからなくなった。これは人に勧めるのが難しい。

放課後よりみち委員会 (2) (バーズコミックス デラックス)
放課後よりみち委員会 (2) (バーズコミックス デラックス)

2巻では黒い人の正体が(読者に)判明。
みのらなそーな一方的な恋が始まったり、姫野のあっけらかんとした性格が周りを驚かせたり。
異世界の広さも、存在も、つかみかねている登場人物たちだけど、
みんなそれぞれの存在をあたりまえのように認めて受け止めている。

放課後よりみち委員会 (3) (バーズコミックス デラックス)
放課後よりみち委員会 (3) (バーズコミックス デラックス)

3巻は、図書委員の羽崎さん(黒髪めがねっ娘、探されている異世界に行ったままの同級生・吉田の姪)をなんとか現国研究会へ入部させようと努力するところから始まる。
黒い人の正体も登場人物たちみんなの知るところに。
吉田が帰ってこなくなったあの日に何があったのかも語られ、虎先輩に一方的に思いを寄せる矢田さんをみんなでなんとかしようとしてくれたり、この話は厚みを増していく。
学校全体や、それぞれの家庭などは掘り下げられないからすごく局所的な厚みの増し方だ。まるで点に深みが出てきているような感じ。これも桑田先生のマンガではおなじみかもしれない。

放課後よりみち委員会 (4) (バーズコミックス デラックス)
放課後よりみち委員会 (4) (バーズコミックス デラックス)

3巻で得たヒントを元に、異世界の配置が解明していく。
矢田さんの一方的だった片思い(このマンガで唯一の恋心)もひとまず決着。

そしてとうとう吉田と出会う。

吉田と出会ったことによって、異世界の探索という委員会の任務は終了する。
そこで初めて、自分にとってその世界がどういう存在なのかを自覚していき、これからどう異世界と関係していくかをそれぞれが決める。

————————————————–

学校が箱庭で楽園だと気づくのは学校を離れてだいぶ大人になってからだ。

桑田先生の前作は「楽園番外地」という、学校に設置された温室に(登場人物にとっての)楽園が描かれたマンガだし、旧作の「男の華園-A10大学男子新体操部-」でも大学とそこで生まれた人間関係を「楽園」と表現する描写がある。
「放課後よりみち委員会」はさらに楽園を具体的な形にしてきた。
学校の中にあり、扉ひとつあけるだけでいける「理想的な箱庭」の世界。
そこには楽園にとらわれたまま10年も出てきていない吉田もいるし、扉の外には、吉田のことを思って自らもまた学校という楽園にい続ける渡先生もいるし、それぞれが悩みつつも現実から逃げて理想の箱庭にい続けるという怠惰に見える世界をひとつの形として肯定する「放課後よりみち委員会」は終わらない楽園を読者に与えるのだ。

この1巻の感想で、人にオススメしにくいマンガだなあとついつぶやいてしまったが、それはこのマンガと桑田乃梨子先生の描く人物たちがいる世界を好きすぎて、人に否定されたくないあまり、否定されない決定的な長所を言葉にしなくては自分が傷ついてしまうという予感だろう。
たくさんの人に読んでもらえば「うん、私もこういうの好きだよ」といってもらえることもあるだろうけど、そうじゃないこともあるだろう。

うまく言葉にできないけれど私は桑田先生のマンガが好きで、よさを上手に万人に伝える技術も自信もないけど、これを好きになれる自分でよかったと思うとなんでか泣けてしまった。

異世界の楽園にいつでも行くことができる扉を、私は手に入れているのだ!

↓上記で言及したこちらもオススメ
楽園番外地 1 (UNPOCO COMIX)
楽園番外地 1 (UNPOCO COMIX)

男の華園―A10大学男子新体操部 (第1巻) (白泉社文庫 (く-3-9))
男の華園―A10大学男子新体操部 (第1巻) (白泉社文庫 (く-3-9))


【2】

2005年12月04日

ドラえもんで英単語 DoRa-TaN

4095043369 ドラえもんで英単語DORA‐TAN DORAEMON ENGLISH WORD BOOK
小学館クリエイティブ ジャレックス

ドラえもんがちらっと描いてある辞書はすでに存在する。
だけど、この「ドラ単」はそんなもんじゃない。
ファンなら、ファンであるほどニヤニヤしちゃうドライラストが満載なのだ!

英単語に沿った内容の原作カットが並べられている。
だけど「これで良いのかよ!?」って言うような、その前後を知らない人には何のことだかわからなさそうなコマまであるところがおもしろい。

例:
responsible リスパンスィプる
1.責任のある 2.信頼できる
(イラストカットは「このドラえもんがつきっきりで…、」「めんどう見てやるよ」)

↑信頼できるんだ……!?(笑)

例:toilet トイれット
1.便器 2.トイレ、洗面所
(イラストは、便器と冷蔵庫を道具でひとつにまとめたあとの、便器に食料が入ってるシーン)

↑これがトイレなんだ……!?(笑)

例:topic タピック
話題、論題、トピック
(イラストはしずちゃんが「どうして、そういうきたない話ばかりするの?」と嫌な顔をしてるコマ)

まあ、以上のような感じで全編にわたってじっくり笑える一冊なのです。
内容も盛りだくさんで、普通に英単語帳としてもボリュームがあります。
(こういうネタ系の本って、肝心の情報は少なかったりしますよね。某国語を某氏が紹介する本など、1ページに1単語ぐらいしかなくてビックリしたことが。)

発音もカタカナと発音記号で書いてあるので、実践的です。


【3】

2014年05月19日

アサッテの人(諏訪哲史)

アサッテの人 (講談社文庫)
アサッテの人 (講談社文庫)

読むキッカケは、twitterで、私が精神的に疲れたときに奇声を発するという話をした時に
「ポンパッ! というのもいい」
と言われ、詳しく聞いたら小説に出てくる言葉と教えてもらったこと。
以下、自分の話と小説の感想が入り混じっているので適当に読んでください。

まず、私自身に軽い吃音があって、昔からの悩みのひとつなのである。
吃音自体は程度も軽いし、誰かに笑われたことも無く、悩みなんておこがましいかもしれない。
でも吃音の話は難しくて、程度の軽さ、重さ、本人の悩みの大きさ、対処法、治し方、ほとんどが人それぞれすぎて、自分に当てはめて他人の吃音のことを考えるのはよくないと思ってる。

その前提でこの小説を読んだら、私にはちょっと変わった感動があったのだ。

小説の中で、主人公の青年は、旅に出てしまった叔父のことを語る。
思い出の中の叔父の姿を。
叔父が残していった日記の内容を。
すでに亡くなった、叔父の妻から聞き取った内容を自身で「小説に再構築しようとしていた」時の文章を。
これらを使って叔父というひとりの人間が形作られていく。

吃音に言及した部分抜きでは、ぼんやりと叔父の姿が見えたり、細部だけが掘り込まれてくっきりしたのに完成しない叔父の姿を読者として楽しむような小説だったという感想。
実際のところ、現実世界でもひとりの人間の情報なんてこんなものなのに、自分の目で見たものは自分の脳内で補間されて、完璧にくっきり見えているような気持ちになりすぎてるんじゃないか?

書評で「叔父のことが結局まったくわからない、妻の朋子の死因が語られていない」など、情報の足りなさを指摘して、小説の評価を落としているような人は、普段からいろいろなものを「わかった気になっている」のではないか。もちろん小説には説明されなくては見えないものもあるから、情報がぬけていることで破綻してしまう場合は批判されるだろう。ただ、「アサッテの人」に、叔父が結局最後はどうなったのか、妻は何で死んだのかという情報は無くても大きな問題には感じない。(事故で突然、とだけ明かされている。コレで十分じゃないかな)

さて、自分と吃音と奇声の話。
「アサッテの人」の中で「ポンパ」という奇声が登場して、(たぶん小説として誇張した部分で)動きとともに周囲の人間を驚かせて戸惑わせているのだけど、読者にもこの行動は変わってるととらえられているようだ。
私は、「え! 自分と同じような人が出てきた?」と思ってしまった。
私の場合は叔父と違って、「アサッテ」を目指して奇声を発しているわけではないのでちょっと違うのだけど
(ただし、アサッテのために意味のない音の羅列を発していると思っているのは、叔父自身でなく、主人公の青年が読み取ったもののようだ)、
音だけで意味をもつよーなもたないよーな言葉を実際に発しているのだ。

ただし、私の奇声を聞かせる相手はたった一人だけ、そして私のばあいその一人は、その奇声に寄り添ってくれている。「叔父の妻の朋子」も最初は戸惑いつつ、分析してみたり、たまには一緒に発声してみたり、違いを指摘されればすりあわせてみたり、奇声に寄り添っていく雰囲気を感じ取れる。

私がそういう、音の遊びみたいな単語をくちにするときは、
・伝えたい気持ちが言葉にできず、その苛立ちが吃音に変換しそうなときの逃げ
・もやっとした不安や恐ろしいものが、言葉というカタチに収まらないために大きく感じるときに、霧散させるための意味を持たない音の破裂
・気分がいいときの、鼻歌のようなもの(これが自分の苦手な発音の音であってはならないのだ!)

ここまで自己分析していた自分の奇声と、「アサッテの人」の叔父の分析が結構重なってくる。
「あっ! これはもしかして、私の伝えたくて言葉にできなかった気持ちを、書いてくれているものなんじゃないか?」
同じ境遇の人への感情移入なんてものではなく、実体験のもやもやを、体験してない人へ解説できるものかという期待が大きくなる。

……ただし、ネットで書評を見た感じでは、結局伝わってないのかなあと落胆。
「わけがわからない」
「叔父はちょっと変わった人ではなく、精神病ではないか」
って言われてるのを見るとなぁ~、ひとごとなのにシュンとしてしまうのだ。
吃音まで行かなくても、せめて「自分の気持ちを伝えられない」という体験を重ねてる人じゃないと実感がないのかもなぁ。

以上、思いつくままに書きなぐってしまった。感想ではない!


【4】

2013年04月18日

累犯障害者(山本譲司)

累犯障害者 (新潮文庫)
累犯障害者 (新潮文庫)

これは良書でした。著者は刑務所に服役したことがあって、その際に数々の「罪を犯して刑務所に入っている知的障害者」と出会い、 その人たちが明らかに障害のため社会に交われないというのに、福祉や教育・支援も無く犯罪を犯したとして服役していることに疑問を持つ。
出所後に取材や裁判の傍聴を繰り返し、犯罪・裁判と障害者のかかわりをこの本にまとめた。
身体障害者はほとんど出てこなくて、生まれつきか幼い頃に聴力をなくした人は触れられているけど、あとはほとんど知的障害の人。
そういえば確かに、障害者手帳を交付されない程度の知的障害の人でも、よくルールがわからなくて罪を犯したり、奇異に見えたことで 結果的に罪に問われたりと言うことはありそうだ。
本書でも触れられているような、親子・家族ぐるみで知的障害があったりすると、そもそも誰かに相談するとか、 社会で生きていけるような支援や教育と言うのが受けられないこともあるだろうね。

書かれている内容がすべてではないだろうけど、いままで考えたことも無かった事柄がまだまだあるということに考えがいたった。
その本で得た案件を元に、今後は新しい想像力を駆使していこうと思う。


【5】

2015年08月06日

2000年代の「戦争と漫画」、その一部

2000年代にも第二次世界大戦の漫画はいろいろ出ている。
全部読めてるわけじゃないから、私が読んだ一部の漫画しか紹介できないけど、
少しずつ思うところと漫画の紹介を書こうと思う。

昭和の時代には戦争を描いた漫画はたくさんあった。
悲惨な状況を体験した作者自らが描いているものも多く、戦争がどうやって人を殺したかを伝えていた。
私も子どもの頃からそういう漫画、絵本、小説、映画……たくさん観てきた。
戦争は怖い。私たちのこの世界と違う。違う世界の違う場所でこんなことが今でも起こっていて、私たちの日常もある日突然戦争に変わるかもしれない。
という恐怖を持ったまま大人になった気がする。

大人になってから初めて出会った戦争関連の漫画はこれだ。
夕凪の街 桜の国 (双葉文庫)
夕凪の街 桜の国 (双葉文庫)

2003年の作品。
オビに「賞をとった漫画」と書いてあったし、私は漫画好きで漫画を描いたりもしているので、そんないい漫画なら読んでおかなくちゃ。と思って購入した。

いままで読んでいた戦争、広島、原爆……を扱った漫画とはだいぶ違っていた。
そもそも舞台が戦後、昭和三十年である。
特にショックだったのは33ページ(文庫は持ってなくて、ページ数が違うかも)の、何も絵がないページ(皆実さんの主観だということがあらわされている)に描かれた台詞。

「嬉しい?」「十年経ったけど 原爆を落とした人はわたしを見て 「やった!またひとり殺せた」 とちゃんと思うてくれとる?」

いままでアメリカ(国)が日本(国)に原爆を落としたんだと、どこかで思っていたのだけれど、
この「夕凪の街 桜の国」の皆実さんの台詞には、ひとが、ひとに。だれかが、わたしに。 どうしてだれが、なんでわたしが? という想いが、憎いとか悲しいとかそういう次元と別のところに存在しているんだなあと……私は初めて思い至ったわけで……
主人公の皆実さんはたくさんの身内を「あの日」失ったけど、戦争や爆弾を憎む様子を見せるでもなく、身内を思って悲しむ姿を見せるわけでもなく、十年間戸惑って、理不尽に死んだ人と、偶然に生きている自分との違いもわからないまま暮らしていたんだと。

後半の「桜の国」のほうではほとんど原爆も広島も影をひそめ、薄まって、当事者にすらなにが因果や影響を残しているのかもう判断もつかないのに、いまだぼんやりと……時々見える影をそばに置いたまま暮らしていく不思議さとちょっとした戸惑いと、
あとは間違いなくあの日からも同じ世界が続いているということ。

「夕凪の街」と「桜の国」は、後半のほうで同じ場所を旭さんが尋ねたり、過去の風景が重なるようだったりする直接的な描写もあるけれど、同じコマ運びだったり、なぞるような描写に、時を越えたリンクを感じられる仕掛けもあって、漫画としてもテクニックがすごいんですよ……

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あとかたの街(1)
あとかたの街(1)

2015年現在も連載中。4巻まで出ている。(私は今日の時点でまだ3巻までしか読んでいない)
この次に紹介する「凍りの掌」が先にあって、そちらはシベリア抑留を体験された、作者:おざわゆきさんのお父さんのことを描いた本。
続いて、こちら「あとかたの街」は、名古屋の空襲を体験されたお母さんの話をベースに描かれている。

いままでいろんな「戦争の本」を見てきたけど、シベリア抑留・名古屋空襲まではしらなかった。
シベリア抑留も「なんかシベリアに行って仕事してた人たちがいたらしい」ともんやりイメージしただけで、ソコの気候や待遇、それどころか具体的に「人が」そこにいたことすらあやふやだった……

「あとかたの街」では、お母様の少女時代、戦時中の抑圧された生活の中でもささやかな楽しみを胸に、つらい中も工夫して生活を続けている様子が描かれている。

戦時中の暮らしや「ソコにいた人」は感じられるけど、どこか「私とは違う」人のように読んでしまってる気がする。この感じ方の違いは不思議だ。

4巻も近々購入予定。また感想が変わってくるかもしれない。

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新装版 凍りの掌 シベリア抑留記 (KCデラックス BE LOVE)
新装版 凍りの掌 シベリア抑留記 (KCデラックス BE LOVE)

「あとかたの街」と同じく、おざわゆきさんの漫画。

私は最初、この「凍りの掌」を同人誌で読んだ。続巻が出るたび購入して、その後小池書院から出た商業版も購入した。上記リンクは先月発売されたばかりの、講談社から出ている新装版だけど、さすがに三種類買うのはためらわれて、私は同人誌版と小池書院版だけを持っている。

これも最初に読んだとき衝撃を受けた。
私にとっておざわゆきさんは築地グルメ漫画の人でおなじみで、私も参加している同人誌即売会コミティアで見かける、カワイイ絵のレポートとおいしそうなご飯の絵が印象的な作家さんだったから、
まさかその人のお父さんがシベリア抑留でこんな壮絶な体験をしてきているとは。

また、お父さんが語り部に合うというか、本人がどんどん前に出るタイプでなく、強い思いや気持ちをもちろん心に秘めつつも、冷静に「その場にいた」事実を語っている様子が、読者に「伝えるちから」を大きくしているんだと思う。
あのときどこにでもいた普通の青年が、戦争に巻き込まれていく描写は、読者と同じ目線でその場を伝えていく。作者のおざわさんのちからだとおもう。
つらい中でも、たべものをたべたり、ソビエトの人と交流したり、花が咲いたりっていう救いが出てくるのもいい。

「あとかたの街」「凍りの掌」両方に共通して思うのは、
この体験をした方々が今も生きて暮らしているということ。
戦後70年? なにも遠い話じゃない。 私たちだって70年後に、もしかしたら何かを語っているかもしれないじゃないか。
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フイチン再見! 1 (ビッグコミックス)
フイチン再見! 1 (ビッグコミックス)

こちらも2015年現在連載中。
女流漫画家・上田トシコさんは、2008年に90歳で亡くなった。第二次世界大戦の戦時中を駆け抜けた人だ。

この漫画も私にとってはあたらしい目線をくれる漫画。
トシコがお嬢様なのである。
いままで戦時中の話といえば、物資がない~情報はない~抑圧されててぜいたくは敵~隣組~みたいなイメージ一辺倒だったけど、トシコはお金持ちの家庭に生まれて、なに不自由ない上品な暮らしを送っていたわけです。
開戦の一報を銀座のパーラーでランチにホットケーキをほおばりながら聞いたり、
おニューの真っ赤なコートをきこんで顰蹙を買ったり、パーマを禁止されたり、終戦のやけくそでケーキを食べようとしたりする。そもそも、戦争中に一番生活に関係ない「芸術」に一所懸命な若者たち。
いままでの「戦時中の暮らし」とイメージが違う……!

でもこの感じは親近感がより強くて、「あれ? 戦時中でもおいしいもの食べるのが楽しみって人もいたり、おしゃれをつらぬこうとしたり、お金に困ってなかったりするんだな?」って思うと、いろんな人がいる中に私もいるという感じになれる。

あとは当時のハルピンのひとたちね。トシコ一家がいろんな人に好かれて、また、一家が好きだった外国の人たちや町並みや文化が確かにあって、戦争はあったけど支えあえる友人もいたということ。

それぞれの巻の感想も書いてます。
フイチン再見!(村上もとか)1巻~5巻: 漫画の感想ブログ ホンヨンダ
http://honyonda.seesaa.net/article/413881232.html

私は上田トシコさんの「フイチンさん」も読んでいて、あちらはハルピンのおぼっちゃんが、金持ちを鼻にかけた性格だったのに使用人の娘「フイチン」と出会ってからどんどんいい子になっていく話なんですよ。トシコさんのハルピンへの思いや、楽しかった記憶がふんだんに詰め込まれている感じ。

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この世界の片隅に(前編) (アクションコミックス)
この世界の片隅に(前編) (アクションコミックス)

この世界の片隅に(後編) (アクションコミックス)
この世界の片隅に(後編) (アクションコミックス)

2007年~2009年連載作品。前出の「夕凪の街 桜の国」とおなじく、こうの史代さんの漫画。

お恥ずかしい話、私は「この世界の片隅に」を読むまで、戦時中に人間が生きて暮らしてたことを知らなかったんですよ。さすがにそれは言い過ぎかもしれないけど、それぐらい曇った目で「戦時中」を見ていた。
戦争の間につらい思いをした人たちって言う、私には関係のない、住む世界が違う、別人がいたと思っていたんじゃないか。

主人公の「すず」さんたちは、普通に平凡に毎日暮らしていて、働いたり、さぼったり、仲良くしたりけんかしたり。強くて、弱くて、叫ばず、主張しすぎず、絵が好きで、フロをわかしてご飯を準備して節約して工夫してその分楽しんで……
今現在の私たちとなにも変わらない、ひとりの人間とその隣にあった戦争とっていう話で……
戦争が終わった後も生活は続いていく。

私だって、この2015年を普通にいろいろしながら生きているけど、未来に振り返ってみれば
「あのときはもう、戦争が始まってたね」
といわれるのかもしれないと思うと、すずさんがあんなに普通の女の子だってことが怖くなってくる。
普通の人が生きていたということは、普通の私もそこに居るかもしれないからだ。

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「この世界の片隅に」はそんなわけで私にとって特別な漫画。
「すずさんかわいい、萌え~」で十分なので読んだことない人はぜひ読んでみてください。
漫画の表現としてもいろんな仕掛けや挑戦がふんだんにあって、何度読んでも楽しい。

私はこないだ、「全部読んだ人には、最初の方で出てくるバケモノの正体がわかる――」という話を聞いて、
「え!!! (「冬の記憶」というエピソードの)バケモノの正体とか、考えたことなかった! もちろんわかってない!!」ということで読み返したんですよ。
うわ~見逃してた。気づかなかった。はっきり明言してるわけでもないし、そもそも「冬の記憶」自体がファンタジーな存在で、「あれはなんだったんだろうなあ」という子どものころの夢のような雰囲気がいいところなんだけど、そういう解釈もほんわかしていいですね。
「すずさんなりの解釈による創作」だったとしても、それはそれでいろいろ深い。改めてキュンとしてしまった。

【この世界の片隅に アニメ映画を応援しています】

2016年秋公開予定とのこと。
特報映像が好評なので見てみてください。
漫画は知ってて、映画化を知らなかった人は今日から公開を心待ちにしつつ一緒に応援してください。
漫画も知らない人はぜひ読んでみてください。

映画「この世界の片隅に」公式サイト
http://www.konosekai.jp/

映画をきっかけに、現在出てる文庫版だけじゃなくて
前の「上中下」3巻も復刊したらいいのに。全部読んでから3巻の表紙を改めてみたときの
ゾクッとする感じ、すごく良かったから。

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戦争のことを考えたとき、とくに近頃思うのは、たくさんの人が自分と同じようにこの世界で生きているということ。
少なくとも私は、相手の名前を呼びながら殺すことは出来そうにない。
ならばみんなが少しずつ、知らない人を知っていけばいいんじゃないか。

紛争が起こってるその場所でも、誰かが楽しいことをしたり、明日の準備をしたり、行事をこなしたりしていると知れば、恨みでもない限り死んで欲しいとは思えない。

第二次世界大戦のとき、アメリカの兵士は、日本人が怖くて同じ人間だと思えなかった……という話を読んだ。言葉も通じないし、肌の色もちがうし、なんと自爆する。理解できない。殺さないとこっちがやられると思った……という話で、確かに、自分と違う生き物を殺すのであればためらいも少なくなるだろうと思った。
戦争はそうやって「あのかたまりは自分とは違う」と人を誘導するところから始まるんじゃないか。

私は知らない土地のニュースを見ると、その地域の気候や人口密度、ストリートビューや航空写真を積極的に見るようにしている。
異国の商店街や看板、バイクにのった人、黒いごみ袋、手入れされた庭、飼われてる動物……などなど見ていると同じ世界でそれぞれの「暮らし」があることを実感できる。そして普段異国の住人を、国の名前だけで認識していることがよくわかる。

今後、もし私たちに敵が出来るとしたら、戦わせたい人たちは相手ひとりひとりの暮らしを伝えず、名前を奪って、別の名前でひとからげにしてくるだろう。
私が人を殺さない方法はひとりひとりの顔と名前を思い浮かべることで、死なないためには、それまでに出来るだけ多くの人に「私はこの世界の片隅に生きている」と伝えることなんじゃないだろうか。


【6】

2013年04月20日

1984年(ジョージ・オーウェル)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

ジョージ・オーウェル「1984年」読み終わった。

SFかな~とおもって購入したのですが、よく考えたらディストピア小説として興味を持って購入したんだった。
そんなにSFではない。(半分まで読んだところ)
1948年に描かれた、1984年の世界なんだから、近未来でSFなのかもしれないけど、ちょっと古いんですよね。
科学の発達した未来じゃなくて、政治的に欲望を押さえつけられた人々の暮らしぶりを描いているので、 先進のものが出てくるはずはないのですが。

そういえば私の好きな「トリフィド時代」も、そんなにSFじゃないんですよね。
じゃあSFってどういうのから言うのか、と考えるとどんどんわからなくなりますが……

結局私は地球上の現在に近い舞台で書かれてるSFが好きで、スペースオペラなどにはなじみがないんだな~と思いました。

ディストピア小説が好きらしい私。
確かにこの1984年もそういう小説で、面白かった。でも2度は読まないかもしれない……
だいたい、気に入ると最後まで読んだ時点で「よーし最初からもう一度読むか」ってなるんですが、今のところ一回で 見落としがないような気がしているので、「結末を知ったからもう一度最初から読もう」という気持ちになっていない。

でも、読み終わった後で毎回やってる「この小説の読みときを答え合わせする・新しい発見をする」という楽しみを今回も始めて、 そこで「偉い人の服装は背広でなく黒いオーバーオール」ってのを知った……
すっかり背広のつもりで読んでいたのに。ぜんぜんちがうじゃないか。

第一部で世界の息苦しさ、問題点、主人公を取り巻く灰色の空気を紹介して、
第二部でこの世の春と希望をたっぷり主人公に味わわせて、
第三部でどんぞこ……そして最後は思いつく数個の結末のうち一個で合っていた。
第二部がいちばん情熱的で明るいんですが、肉欲的な意味で盛り上がるので、 「そこが楽しいから何度も読みたい」とはならないんですよ。つまりずっときつい世界が繰り広げられている。

キャラクターは秀逸だった。解説とかではディストピア、全体主義の表現が主な焦点になっているのだけど、 キャラクターがそれぞれ見た目・性格ともに生き生きしていた。
自己矛盾(二重思考)という難しい心理状態を表しつつも、それぞれのキャラクターは消えてなくならなかった。
これはすごいことだ。


【7】

2016年06月09日

家族が片づけられない(井上能理子)

家族が片づけられない (コミックエッセイの森)

婚活、子育て、親子関係その他いろんなエッセイマンガを読んでいますが、
こちらも好きなジャンル「片付け」。

私の興味はいつも、「誰かが当たり前にできることは全員ができることとは限らないと言うことに気づく」ということ。
私はいろいろできない子どもで、いまでもできない大人なんだけど、このズレはどこから来ているのか。
他の「できる人」はなぜ、できないことを「信じられない」と言って責めてくるのか。
いろんな視点から、できる、できない、あるある、ありえない、という意見を見たいわけです。

「家族が片づけられない」は、主人公=作者さんは「片づけができる人」。
いままで気づかなかったけど、家族は「片づけができない人たち」だった。いや、昔はできていたはずなのに?

主人公は仕事が忙しかったりして体調と心のバランスをくずし、療養のため一人暮らしから実家に帰ることに決めたけど、帰ってみたら実家がごみ屋敷になっていた……こんな場所じゃ休めない、と片付ける!家族は協力してくれないどころかどんどん散らかす!
家族と戦いながら家を掃除してきれいにしていく主人公!

前半は、何故こうなったかと言う分析や、家族へのグチ、具体的な掃除方法などまさに「お掃除エッセイ」という感じで綴られていく。どういう汚れがなにで落とせるのか、どのへんに汚れがたまりやすいのかなど、掃除のノウハウ的な情報を求めてる人にもありがたいネタが書かれてて読み応えがある。

でも、私が「このエッセイいいなあ」とより思ったのは後半から。

家が片付かない、ちらかしてしまうのはただのズボラや性格の問題だけではない。
この家族が住んでいる家は病んでしまっているのではないか。
そして、主人公が本当にくつろげる部屋。「理想の部屋」とはなんだろう。
部屋とは、私(住む人)の心の中そのものなのでは? という発見。
掃除はできても、居心地のいい部屋を作れない自分に気づく。
ちらかっていても、モノが多くても、居心地のいい部屋は作れるということ。

表面だけの、「部屋を片付けると気持ちが良い」「掃除をしないと汚い」ということではない、もう一歩進んだ「自分が住みたい、居心地がいい部屋」とは何かを考えるきっかけになるんじゃないか。
この本の終わりは、「家族にも片付けてもらえるようにする」という着地じゃなくて、自分が部屋と家族とどういう風にかかわって行くのか、答えを見つけたいという希望だと思う。


【8】

2016年07月15日

私はペンで世界を変える(堂本奈央)

エッセイ含め、漫画家さんが出てくる漫画は大好物なんですが、
最近読んだ「私はペンで世界を変える」面白い。

私はペンで世界を変える(1)(プリンセス・コミックス)

私はペンで世界を変える(2)(プリンセス・コミックス)

現在二巻まで、以下続巻。(続きも購入したらここに感想かく予定)

中身はがっつり少女漫画です。
【あらすじ】
青森から転校してきた生田優子・高校二年生は、おとなしくてとくになんの印象も無い目立たない女子高生のように見えるけど、実は現役少女漫画家で期待の大型新人!
さらに、「いつか自分の漫画が映像化されたら憧れの大野君(NALISという人気アイドルグループのメンバー)に主役をやってもらう(つまり会いたい!)!最終的には結婚したい!」というこちらも超大型のドルオタというぶっとんだ少女だったんですね……

で、そのヒロイン・優子の引っ越したマンションの隣には、クラスメイトの超絶イケメン羽多野伊佐と七瀬淳(いとこ同士らしい)が住んでいて、漫画の担当編集さんもイケメンだったりして、しかも全員優子のことが好きor大切らしい……という、いわゆる逆ハーレムもの。

いや、少女漫画なんてだいたいが逆ハーレムと言うか、ヒロインの女の子はぱっとしないのにモテモテっていうのは当たり前ですよ。その中で揺れる乙女心……とか、私の好きなあの人にだけ一途なんだもん……っていう話が多いんですが、
「ペンせか」(勝手につくった略称・普通なんて呼ばれてるのか確認していない)はモテモテのヒロイン、優子ちゃんの視点があまり無いんですよ。まったく無いわけじゃないけど、優子よりも周りの男子が優子のことをどうおもってるかが描かれているというか。

しかも、周りのイケメンたちがこんなに大事にしてくれているのに、優子本人はアイドルに夢中で仕事熱心なわけです。そんな一所懸命さとか、がんばりとか、天然の良い子パワーとかがまた周りの少年たちをキュンとさせてるんですよね……ということで、ヒロインにいやらしさがなくてさわやかなのがこの漫画の良いところで、他と違って面白いところだとおもうのです!

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1巻は導入から、まず伊佐くんが優子ちゃんのことを好きになっちゃって、優子のことを好きになるのはイバラの道でドMの道だとわかっていながらもグイグイアタックする。
追って、結局淳も自分の気持ちに気が付いて、伊佐「ヌケガケ有りでいこうね」淳「おう」みたいになっちゃうわけですよ!
しょうがないよ!優子かわいいもん!一所懸命だし意外と頼れるとことかでも守ってあげたいとことか!

2巻になっても伊佐と淳は振り回されっぱなしで、沖縄いっても相手にしてもらえたような・やっぱり漫画と大野君が上のような感じでしたが、2巻が終わる頃にはちょっと優子の気持ちに変化が……? 淳にも揺れる気持ちが……!?
そして第三の男(?)が……!

2巻で、アイドルに近づきたくて漫画を描いているんだね、漫画を描きたくて漫画家になった人じゃないんだね、今のままじゃあの人には会えないよ……と、脚本を書く仕事をしている伊佐の兄から辛らつにいわれて優子の心が動くところもなかなか。今後「漫画を描く」と言うことについて深く考える描写もでたりするかな?ただの恋愛コメディで終わらない雰囲気がまた良いです。

3巻も楽しみでございます。
ちなみに私が好きなタイプは淳です。まちがいない。
インドア宅デートしたいしケーブルつないで欲しい。(自分でも出来るけどw)

しかし恋は心を騒がせたものが勝ちなんじゃないかと思いもするわけですよ……

 


【9】

2013年10月11日

隣の家の少女

隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)
隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)

オススメはしない。虐待の内容がひどいから、そういうのがだめな人にはオススメしない。
私自身は、読んでよかったと思う。楽しめたとか面白かったとか書くのはさすがに躊躇してしまう。
以下ネタばれありで。

主人公のデイヴィッドは小川でザリガニをとっていたとき、近所では見かけない、少し年上の魅力的な美少女に会う。
話をきけば、交通事故で両親を亡くしたあと、遠縁を頼って引っ越してきたとのこと。しかもデイヴィッドの隣の家に!

デイヴィッドはちょっと悪がき寄りの、でも普通の少年で、
女性には興味津々で性についても興味があるし、ちょっと嫌なやつだと思いつつも仲良しの友人もたくさんいて、閉鎖的な田舎の暮らしを何も問題なく暮らしているように見える。

隣に引っ越してきた姉妹の姉のほう、メグに恋心を抱き始めてもっと仲良くなりたいと思うのに、
メグのようすがなんだか変になっていく……

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最後はメグは死んでしまう(なぶり殺されてしまう)のはもう、最初からわかっていた。
それでもその過程はつらくて、痛みが伝わってくるのを遮断しながら読み進めるしかない。
この物語を終わらせるためにね。

虐待の中心は、隣のチャンドラー家の母親、ルース・チャンドラー。悪がきの3人息子を、いまは女手ひとつで育てている。ルースはデイヴィッドや近所の子どもたちにとっては友人だった。
悪いことも「誰にも言うんじゃないよ」と許してくれるようなところがあって、子どもたちは近所の話がわかるおばさんになついているようだ。子どもにとって許してくれる年長者は頼れる存在だ。自分の親よりも気軽で、好きになるのもわかる。
(他の人の書評で「ルースはガキ大将だ」という表現があって、なるほどなと思った)

ルースがどうしてメグを虐待するのかは、結局最後までわからない。メグ自身も、「なんで? どうしてなの?」と最後まで問い続ける。多分ルースにもわからないんだろう。

メグのことをぶさいく、太ってるとなじるルース。メグも「そうなのかな?」って少し戸惑う。

だれでも、欠点に気づけてないかもしれないという不安から、ズバッと指摘されると
「私が気づいていないだけで、そうなのかもしれない」と不安になって、罪悪感を覚えるだろう。
その客観的でない意見を持ち続けると、周りの意見や見えるものがずれてきてしまう。

この話は、そういうズレていく話なのだ。

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傍観者である、主人公のデイヴィッドですら、
メグとわたしたちの区別には正当な理由があるのではないだろうか、と疑った。
正当な理由があると納得したかったのだ。
(193P)

と、暴力の理由を探して「メグは虐待されるだけの理由があって、僕とはちがう」と思いたがっているし、
ルースも暴力を振るうときは必ず「この女は淫乱で不潔で、醜いから今のうちに治す」と理由のようなことを言う。周りは、誰も自分の判断ができない子どもたちだ。「そうなのかもな?」「じゃあしょうがないかな?」と思っただろう。
暴力を正当化する言葉は手に入れてはいけないのだ。

そうかといえば、ルースはメグを虐待して地下室に閉じ込めているにも関わらず、
 「メグのほうが、この女よりずっとかわいいじゃないか。どう考えたってメグのほうが美人だよ」(197P)
などと(雑誌のモデルと比べて)褒めちぎる様子も見せる。

ルースの憎悪は、メグに対する憎しみではなく、自己嫌悪なのではないだろうか。
3人の息子を苦労しながらひとりで育てている。
華やかな娘時代も確かにあったはずなのに、失敗したように思える、自分の選択と現状。
いつからこうなったのか、どうしてこうなったのかと考えたとき、自分の「女」という性に行き当たる。
自分に起きている不満を、「女性である」ことのせいにしているように見える。
メグという思春期の美しい少女を見たとき、性の輝きと若さを感じて、自分の「女」を罰する気持ちがメグ、若い頃の自分への虐待という行動を起こすきっかけになったのではないか。多分ルース自体も、その憎悪の正体には気づいていない。メグを罵倒する言葉のすべて、誉める言葉のすべてが、もしルース自身に向けられたものだったとかんがえたら……?

小説を見る限り、メグのような思春期の若い女性はほかに見当たらないのだ。
少なくともルースの近くには。
まだ子どもで、女になっていないスーザンやデニースは虐待の対象になっていない。

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他の方の感想には、よく「デイヴィッドは何をやっているんだ、傍観者だといっているが立派に加害者だ。助けようとしなかった」というものが見受けられるし、実際作中でも警官に「(君は)助けなかった」と静かな糾弾を受けている。

でも私にはこの、デイヴィッドが誰にも言えず、なんだか「そのうち終わるんじゃ」という気持ちで言い出せずに見るだけだった気持ちのほうがよくわかる。
デイヴィッドは何度も繰り返し、僕たちは子どもだ、とつぶやくように考えている。
そう、子どもは自分の思うどおりにできないものなのだ。大人は間違えないし、失敗しない。子どもは違う。もし大人が信じてくれなかったらそこで終了だ。
12歳の少年なんて、覚悟がないと「お前も悪い」といわれることは告白できない。共犯はチクらないと決まっているかのように。罪悪感が、善行の邪魔になる。

終盤でデイヴィッドはとうとう傍観をやめて、ヒーローになってしまう。
助けられなかったけど、これはヒーローだ。
私はこの終盤で、物語から距離を感じてしまった。私だったら多分、傍観をやめられないだろう。もしかしたら自分も虐待「される」側になったかもしれないと思うけど、助けようとはできず、ただ時がすぎてなにもかも終了するのを待つだけになりそうだ。「まだ手遅れじゃない、終わってないんだから」とつぶやきながら。

物語の最後に、大人になったデイヴィッドは三度目の結婚を予定しているけど、
もうデイヴィッドはあの地下室でメグと結婚してしまったようなものなのだと思う。
本当の苦痛を分けあった、自身の片割れのような少女と。
つまり、三度目の結婚もうまくいかないんだろうな。


【10】

2015年06月11日

好きな漫画ベスト10【完結】【個人的おすすめ】

Twitterで「#自分の人生においてトップ10に入る漫画をあげてけ」ってハッシュタグが流行って……

普段から、そういうのでリストをぱっと挙げるのが苦手なんですよ。
一番好きな食べ物は? って聞かれても、3番目ぐらいに好きな食べ物を「うーん、○○かな」って答えちゃって、後から「あああ!! ○○よりももっと好きで数日に一回は必ず食う、食いすぎるから我慢してるってぐらいのがあった!」って思い出したり……

しかし自分は漫画好きだとおもってたけど、読んでる人に比べたら全然読んでなくて、このハッシュタグを見てても
「読んだことがある」漫画ってほとんどない……なんなんだ私は、ほんとに漫画好きなのか?

しかも、定義が難しいよね。ついつい「ベスト」って考えたときに、いままでいろんな基準で考えたベストがごちゃ混ぜになってしまう。
・他人にはわかってもらえる気がしないがとにかく自分好みの漫画
・コレを読んで○○したから人生に影響を与えたといえる漫画
・とにかく薦めたい、面白い漫画・すばらしい漫画を読みたいのならこれを読めといいたい漫画
それぞれ違うじゃないですか……でも分けられるものでもないし……

ということで前置きが長くなりましたが(あとがきも長いよ)、
いろんな基準をごちゃ混ぜにした上での超個人的トップ10を。

【順不同】
・1作者/1作品で選びました。そうじゃないと作者が偏ってしまう。
・完結していない作品は選べない。終わらせ方ふくめ、全体を通して読んだときに好きかどうかが重要。
・作者名の後ろに(★)とついている場合は、作家買いしている作者の作品
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【残酷な神が支配する:萩尾望都(★)】
残酷な神が支配する (1) (小学館文庫)
残酷な神が支配する (1) (小学館文庫)

イギリス・アメリカを舞台に、悪魔のような義父からゆがんだ愛を押し付けられた少年・ジェルミの犯した罪への断罪と、壊れた心の救済を模索する話。(まるめすぎ?)

いまだ繰り返し読み続けている名作。重いテーマゆえ、オススメしたくても気軽にオススメできない場合が多い。
いずれがっつりと骨太レビューを書きたい、とおもいつつ書ける気がしなくて先延ばし中……

【エスパー魔美:藤子・F・不二雄(★)】
エスパー魔美 1 (藤子・F・不二雄大全集)
エスパー魔美 1 (藤子・F・不二雄大全集)

ある日超能力に目覚めた中学生の少女、佐倉魔美。超能力を磨きつつ、困っている人は放っておけない性格のために、毎日おせっかいや人助けに奔走する。

毎回ミステリー仕立てであったり、おせっかいな魔美の少女らしい善意や、善意だけでは解決しない出来事、人を助けるということの難しさがわかるところがすごい。あと個人的に藤子F漫画の登場人物の中で一番高畑さんが好きなんだ。
子どものころは蛍光ペンで乳首に色を塗ったりした。あとマロングラッセなる食べ物が食べてみたくてしょうがなかった。
アニメの印象しかない人は特に原作を読んでみてほしいし、青年コミックって言ってもいいぐらいすべての話がしっかりしていて、作画もストーリーもとにかくレベルが高い! ひれ伏すしかない!

【N・Y小町:大和和紀】
N.Y.小町(1) (講談社漫画文庫)
N.Y.小町(1) (講談社漫画文庫)

時は明治。16歳まで男として育てられた小間物問屋の娘・志乃は、あとつぎたる弟がうまれたことで父から「今日限り男を捨て、女として生きよ」と告げられてしまう。しかも婚約者(幼馴染の退屈男)まで用意された……とあっては、家を飛び出すしかない。 途中で出会った開拓使のアメリカ人、ダニエル・アーヴィングと話をしたことで、女性も活躍できる国・アメリカへ行ってみたいという夢を持つ……

とにかく主人公の志乃ちゃんがイイ。どっちかというとイケメン系着物ヒロインで、武道にたけててアクションをこなし男と対等にやりあい、ずる賢く、でも一途なところが最強。舞台は開拓時の北海道、人種差別バリバリのアメリカ、花の東京……って感じでそのあたりの雰囲気が好きな人もうれしいんじゃない?
マスコット的に途中から現れるぶさいくなネコ・ポテ次も大好き。不細工なところがかわいい。
志乃ちゃんは女写真家として活躍するんだけど、その辺も見所。

【この世界の片隅に:こうの史代(★)】
この世界の片隅に(前編) (アクションコミックス)
この世界の片隅に(前編) (アクションコミックス)

昭和19年、広島・呉に嫁いだ女性「すず」は、不器用ながらも日々の暮らしを乗り越えていく。
戦時中ではあるけれど、そこには毎日の食事、毎日の着る服、毎日の仕事、人とのおつき合い・出会い・別れ……どの時代でも人が生きている限り変わらない日常が、めぐってくるのです。

こうの史代さんの漫画はほとんど好きで、中でもトップクラスに好きな「長い道」「夕凪の街・桜の国」という作品もあるのだけど、やっぱり「この世界の片隅に」がちょっと飛びぬけているかな。
戦争。悲惨。非日常。繰り返してはならない。……というような、普段わたしが触れている戦争への語り口を、極力排除したような戦時中の日常漫画で、「あ、戦争してたときも、国民全員が戦って殺しあってたわけじゃなくて、戦争をとなりに置いたまま人々は日常を生きていたのか」という、ある意味当たり前のことを、戦争に本当のイメージが沸かない世代のわたしに気づかせてくれた漫画なのである。
http://honyonda.seesaa.net/article/109324250.html (2008年の上巻の感想)

【男の華園~A10大学男子新体操部~:桑田乃梨子(★)】
男の華園―A10大学男子新体操部 (第1巻) (白泉社文庫 (く-3-9))
男の華園―A10大学男子新体操部 (第1巻) (白泉社文庫 (く-3-9))

大学に入学したばかりの青年・ユカリは、小説家になりたいとほのかな夢を抱きつつ、気になる女の子もできて、これから大学生活を楽しむんだ~!と思っていたのに、たまたまユカリの運動神経を見出した「男子新体操部」というマイナーな競技の部活に引きずり込まれてしまったのだ……先輩5人、新入生1人という状況で先輩たちに振り回されっぱなしのユカリ。小説は書けるのか。バイトはこなせるのか。好きなあの子とは接点が増えるのか?

私の好きな、ダラダラ部活動いりびたり系コメディ!!
桑田乃梨子先生のまんがは全部大好きだけど、一番私の心をつかんではなさないのは「男の華園」!タイトルはもともと「A10大学男子新体操部」にする予定だったけど、編集サイドから「男の華園」の提案があったそうで。
桑田作品には、多くの「学校=楽園」というテーマが下敷きにある漫画があるのだけど、この「男の華園」は読者(桑田ファン)にも作者にも、それが強く感じられた最初の作品じゃないかな。
消えてしまってからも愛おしく感じる、まさに「日常」だったことが懐かしく胸を締め付けるような……あの時ずっと一緒にいた人たちは消えたわけではない、でも関係性は変化して、日常は緩やかに変わってしまった。今も過去からの続きとして、楽しくやっているけれど、思い出すとあのころは「楽園」だったと気づくような経験がある人はより心に残るんじゃないか。

【ルナティック雑技団:岡田あーみん】
ルナティック雑技団 (1) (りぼんマスコットコミックス (721))
ルナティック雑技団 (1) (りぼんマスコットコミックス (721))

両親の海外赴任のため、ひとり日本に残ることになった中学生・夢実。 生活の面倒を見てくれる「お父さんの部下の家」はなんと、学校一のカリスマハンサムボーイ(?)天湖森夜の家だった! 天湖くんに憧れる(男女問わない)生徒たちからの嫉妬、夢実に想いを寄せる学園のアイドルだけでも大変なのに、天湖家の母親もキョーレツな個性。夢実は森夜と友達になれるのか?そもそも生きて無事に帰れるのか?(笑)

伝説級の「りぼん」掲載少女向けギャグマンガ。
岡田あーみんと駆け抜けた青春。
不条理なギャグが多いような気持ちでいたけど、ちゃんと読むと王道ギャグだし、いろんな文化に触れるとさらに楽しめるパロディも多いし、恋愛を軸にして少女マンガとしてもがっつり読めるし、森夜がとにかく魅力的。2015年7月には新装版が発行されるとのことで楽しみ!

【イタズラなkiss:多田かおる(★)】
イタズラなKiss (1) (集英社文庫―コミック版)
イタズラなKiss (1) (集英社文庫―コミック版)

主人公・琴子は学校一のハンサム入江直樹に告白すべくラブレターを渡そうとするが、受け取ってももらえず玉砕。その傷もいえないのに、今度は新築の自宅が欠陥住宅のため地震で全壊してしまう。緊急で同居させてもらうことになった、父の友達の家とは……なんと入江家だった!!

あれ、「ルナティック~」と似たあらすじ紹介になっちゃったよ。
私「同居モノ」すきなんですよね……「イタkiss」は比較的最近の少女マンガの中で一番好き。やっぱり、ガッツリ「両家の家族」が絡んでくるところがいい。家族がちっとも見えないマンガは(特に長期連載の作品では)好きじゃない。入江家もいいし、琴子のお父ちゃんも親戚もみんないいよね。
このトップ10リストの中では、唯一未完の作品。あと少しで終わるところだったろうに、多田先生が事故でお亡くなりになってしまったから。でもムリにほかの人の手で終わらせたりしないで、このままにしておいてほしいというきもちが強い。
1~6巻の感想かいてます。
http://honyonda.seesaa.net/article/388814804.html

【まんが道:藤子不二雄A(★)】
まんが道 (1) (中公文庫―コミック版)
まんが道 (1) (中公文庫―コミック版)

少年・満賀道雄は引っ込み思案で内気だけど、絵を描くのが得意な少年。授業の合間にも絵を描いていたら、同じクラスの才野茂が声をかけてきた。才野も絵を描くのが好きで、将来は漫画家になりたい!と夢を熱く語る。漫画家の夢は持っていなかった満賀も、少しずつ漫画への情熱を持ち始めて……

有名な作品。「藤子不二雄」と名乗る二人組みの漫画家の、幼少期から青年期までの体験を基にしたノンフィクション風漫画。エッセイや自伝ではないところがポイント。あくまで実際にあったエピソードや出合った人物をモデルに再構築した漫画ということ。しかし読むたびアツくなる。とくに、満賀はいつも才野に劣等感を感じているところがリアル。二人の天才がいた……という話になってしまわず、満賀は「なにも漫画家をめざさなくとも」やっていけそうな人間関係とキャリアを築き始めるところなんか、本当にドキドキする。
具体的な漫画の技術・見せ方の話も充実してるし、自分でも出来そうな漫画の工夫・生活の工夫・食べてみたい食べ物が続々出てくるので、多方面から楽しめるところも「何度も読んじゃう」理由かも……

【動物のお医者さん:佐々木倫子】
動物のお医者さん (第1巻) (白泉社文庫)
動物のお医者さん (第1巻) (白泉社文庫)

H大学の理系を受験しよう。と思ってたぐらいで将来のことを考えるまでにはいたってなかった高校生のハムテルと二階堂。学校からの帰り道、近道をしようと通り抜けた大学の敷地内で「追われている子犬」を助け、教授には「キミは将来獣医になる」「このカシオミニを賭けてもいい」と断言されてしまう。
犬を飼うつもりも獣医になるつもりもなかったのに、流されるように犬を飼い獣医への道を進むハムテル……変態教授をはじめ、個性豊かすぎる人々(&動物)との戦いがはじまるのであった!

好き。何度も読んでるしどこからでも読めるしなぜか細部まで記憶している。
油断してると頭の中に「フースフフースフス」とか浮かんでくるけど、いまだに何のことだかわからん。
(試験前に学生たちがつぶやいている。語呂合わせのようなものらしい)
個性豊かなキャラクターがいい……とかいったって、それぞれ超能力があるわけでもないし、ぶっ飛んでる変人なわけでもない。少しずつ「ほかの人とは違う、この人だけの」何かがあるという微妙なラインなんだけど、文庫の8巻を読み終える頃には「あの人ならこう言いそう」「これ好きそう」と、実際に身の回りにいる人のように親しんでしまう。今日もハムテル、二階堂、菱沼さんとチョビは大学にたむろしてるのかな~とか想像する。
あと、私のリアル動物嫌いが緩和された気がする。テレビ、本、写真で見るのは好きなんだけど、実際に触ったり近寄ったりするのは苦手なんだ……でも「動物のお医者さん」読んだらちょっと平気になってきた。不思議。

【風の谷のナウシカ:宮崎駿】
風の谷のナウシカ 1 (アニメージュコミックスワイド判)
風の谷のナウシカ 1 (アニメージュコミックスワイド判)

人を寄せ付けない毒の森・腐海のほとりに生きる風の谷の人々。やがて毒に犯され死んでいく運命を背負って、それでも長い年月を森と共存してきた。しかし大国たちは小国も巻き込んで、領土を求めて戦争を始める。望む・望まないにかかわらず戦いの渦に飛び込んでいく人々。ナウシカも小国の長の娘として戦いに赴くが、腐海が存在する意味に少しずつ気づいていく。

漫画版を説明しようとすると、よく知られた映画版と違う話みたいになってしまう。
中学生ぐらいのときに初めて読んで、まだ全巻出てなかったし、戦争部分は難しすぎてよくわからないまま読んでいたと思うけど、当時から好きだったなあ。大人になってから読むと、戦争部分もそんなに難しいことは無かった。これも重いテーマで、善も悪もすべての人間が併せ持っていて、すっきり解決なんてことは出来ないことを知らされながらも、やっぱり日々は続いていって、生も続いていくということを実感する。

————————————————–

以上です。
やっぱり10本選ぶのは難しい。ハンパに多い。
3本とか5本なら、ズバッと選べそうなんだけど、10本選ぼうとすると「同順位ぐらいに好きな漫画が他にも……」ってのが出てきちゃうんですよ。
「これをあげてコレを入れないなんて……」とか。

今回あげたものより、読み返した回数では勝ってる漫画もあるんですよ。
でも読み返した回数ではなく……冷静に、かつ熱く、考えた結果のTOP10というか……
1位から10位に並べろって言われると余計に困っちゃうのでやめておきます。
(ランキングではありません)
それぞれ全然別物だから、基準が無いようなものなので順位がつきません。

また、好きすぎてほとんどレビュー書いたことのない作品ばかりになってしまいました。
とてもじゃないけど、感想としてこの「好きなきもち」をまとめることが出来るとは思えない。
上記の紹介文は「これが好きだ!……アッ、こっちも、好きだ!」って感じでうきうきしながらしゃべってるとおもって読んでください。

「ハマって、同人活動をしたことがある漫画」もいくつか存在はするのですが、上記のTOP10には入りませんでした。
次点にもほとんど入ってないな……不思議。同人活動をするかどうかってのが、必ずしも「一番好きな漫画」ではないということでしょうかね。好きには違いないけど。あと、リアルタイムで読んでてはまって、人気作品のために引き伸ばされて、最後までついていけなかったり、終わりのほうはいまいち好きになれなかったという理由もあるかもしれません。


新作もお楽しみに! 明日も更新するのでぜひ次もみてみてね。