amazonプライムビデオで2020年末に見ていた映像作品をご紹介。
ドキュメンタリーです。
USAでは、2000人を超える「少年の時に犯した罪で終身刑になっている」受刑者がいるが、2012年に最高裁で「少年時代の罪で終身刑になっているのは違憲」と判決が出て、過去の事件についてももう一度「この元少年は更生の余地もなく、終身刑で一生刑務所に入っているべきなのか?」と判断をし直す裁判があいついでいると。
このドキュメンタリーでは、少年がどんな罪をおかして終身刑になったのか、現在どのように生きていて、加害者家族はどういう思いか、被害者家族はどういう思いかを取材している。
本当に事件ごとに事情も違っていて、これらのケースは個々に判断していかなくちゃいけなくて大変だなあと。基本的に被害者の家族はみんな時がたっても怒りと悲しみの中にいて、この再審でもう一度「被害者を殺した少年の罪は残りのすべての人生を刑務所で過ごすほど重いのか」ということを考えるように言われるわけで、そりゃみんな「はあ!?こっちの家族は殺されて、もう人生も何も無いんだぞ!?」という気持ちになるばかりだよね。
処罰感情を抜きにすると、決めた法律の中での判断になるから、それにのっとった判断だったのか?ということを考えなければならない。
だいたいのケースで人種差別が絡んでくるところも根が深いというか、「白人だったらここまでの判決にならないのに、黒人だから刑が重くなっている」と主張があって確かにそう感じるものもあったり、殺人をおかした少年が最初の供述で「黒人が入ってきて彼女を撃って逃げた」とウソをついたり、毎回「うーん」と考えてしまった。少年だったゆえに、複雑な家庭環境や貧困から犯罪に巻き込まれていくケースもあるように感じた。
みんな現在の姿で、もう20年ぐらい刑務所に入っていて40代になってしまったような元少年も出てきて「終身刑を撤回してほしい、ここから出たい」という話をするんだけど、その話に更生を感じられた人は少なかったかなあ。でもその人の一面しか見てないからね、もしかしたらもっと更生してるかもしれないし、ウソかもしれないし。
基本的に事件当時に捜査に当たった警察側の人は「あれは更生しないですよ。ひどい事件だった。心がない、凶悪」って証言するんだよね。
加害者側の家族も、被害者へ寄りそう気持ちはあんまり語られないかな……「終身刑で一生出られないなんてひどすぎる。あの子はいい子だった、間違いをおかしてしまったけど……」という感じで。
それでも加害者家族がそういう風にコメントするのは日本とは全く違うところですね。「加害者家族」という書籍の中でも、アメリカでは子どもが犯罪を犯したときには親に手紙や電話で「大変なことになったけど、気を落とさないでね」という内容のメッセージが来るそうで、家族だからと言って同罪のように扱う雰囲気はあまりないんだろうなあと思ったりした。
そして、再審で裁判するシーンが映像にあるケースもあって、そこには加害者の元少年と、弁護士、裁判官、加害者の家族、被害者の家族も集まっている……のが凄いなあと……
エピソード8のロナルドのお父さんが証言台に立った所は泣いてしまった。加害者の父として、このシリーズで一番被害者のことを思って、加害者である息子への愛も伝えていたと思うんだよね……
エピソード9でロナルドの裁判がどういう結果になったかが裁判官から語られるんだけど、その判決を聴いたあと被害者の娘さんと加害者の父親がハグするところなんかほんとに……そんなことあるんだ、って思った。
エピソード5なんか性被害なのに被害者も証言台に立つという、すごすぎる展開で、自分に置き換えたらキツすぎて大変なことだと思う。加害者の元少年はどんな気持ちになるんだろう。被害者の気持ちは伝わるんだろうか……
エピソード6のジェームズ氏はなんかすごい。とても家族を4人も惨殺した元少年とは思えない、人当たりの良さそうな笑顔が逆に怖く感じてしまう。被害者遺族であり加害者家族でもある父親の存在も異色。自分の息子がやったことだから責任を感じている、というようなことをいいつつも、なんかちょっと他人ごとのような……被害者にも加害者にも心を寄せていないように見えてしまう。編集のせいもあるかもしれないな。家庭環境が複雑で、元少年の味方はいないところがまた重い。
毎回、終身刑の元少年たちが「この場所は地獄だ。最初の数年は生き延びるのがやっと」というのも気になる、USAの刑務所どんなんなんだよ。いや他にも本とかで、受刑者同士で暴力やリンチや殺人があるというのは読んでるけどみんなそんななのかな……そんな場所にいたら「罰」にはなるかもしれないけど更生にはつながらなそうだよね。終身刑だからもうどうでもいいやってことなんだろうか。いやいや。