【2024】「HOWtoART Vol.2」本棚の本を1日1冊紹介する 2024/12/20

その他の記事も 2024年本棚の本の紹介 から読めます。

HOW to ART Vol.2

角川書店  取材・執筆・撮影 伊地知ゆたか

howtoart

 

ソフトウェア紹介の方でも【2024】「VLC media player」今年使ったアプリその8-2024/12/08 で私の人生に大きく影響を与えたソフトみたいな話をしているが、この「HOW to ART」はさらに具体的に大きな影響を与えた本だと思う。これを手に取っていなかったら今の私はここにいないし、この本に出合わなかった私は「全くの別人」になったはずなのだ。

進路に悩んでいる「絵が好きなニンゲン」だった

漫画を描くことやコミック系のイラストレーションが好きで、漠然と「こんなに好きなんだから将来は絵を描く仕事ができたらいいなぁ~」と考えていた。しかし本当に漠然としていたし、誰にもそのことを相談していなかった。「それにはどうしたらいいのか?」と相談してみるという発想がなかったのが大きい。とにかく漫画の描き方の本などを買って、見よう見まねでずっと漫画を描いていた。

学校の美術の先生が私に「阿智さんちょっといいかな?」と声をかけてくれて、話を聞きに言ったら「美術系の短大の推薦をすることができるんだけど、大学に行く気持ちはありますか?」という話だった。

進学校ではなく、周りの友人にも大学に進学する人がほとんどいなかったので「私が大学に行く」という発想がなかった。「そういうのありなんだ!?」と思った。提案された短大は比較的近所の大学(隣の県だけど)でなんとなく魅力的に感じず断ってしまった。でも先生は「美大とか他に受けるんだったら、受験用の指導もやるから言ってね」とおっしゃってくれた。あれ、なんか評価が高かったのかな……たしかに美術は5段階評価で5だったし先生はいつも言葉の少ない人なりに私の作品を面白がってくれていた。

そこで、他にも美大を見学してみたり、専門学校でもいくつか漫画を描く学校やイラストレーションの学校を調べたり見学したりした。見学するとだいたい「確かに絵を描けそう。でもなんか、それでいいのかなあ……?」という気がしていた。

絵を描く友人たちと描いた漫画を見せ合いっこしたり、絵を描くアマチュアの作品を見れる雑誌を愛読したり雑誌に漫画を投稿したり同人誌を作ったりとすでに活動していた私は、専門学校の見学会で「漫画を投稿したことがある人」「漫画を一本描き上げたことのある人」というアンケートに私以外手を挙げないことが気にかかっていた。

これ、進学しても「周りにガンガン描いてるひとばっかりでやる気出る!」という状態にはならないんじゃないか?もしかして「学校で習ってから漫画を描こう」という人ばかりの可能性が高い?

「HOW to ART Vol.2」を買う

書店で見つけたこの本を「よさそうだな」と思って買った。

絵の描き方を解説している本を見つけるたびに買っていたころだ。この本には本当に詳しく人気イラストレーターや漫画家の絵の描き方が紹介されていて、絵を描くプロセスはもちろん筆で彩色中の手先のアップや、使っている画材の紹介、見せ方の工夫などを夢中で読んだ。インタビューの文章も何度も読んだ。一人の作家ではなく、たくさんの作家の作画工程の違いや画材による表現の多様さを知れるいい本だった。

コンピュータグラフィックスに出会った

この本の後半には、画材だけでなくコンピュータグラフィックスでイラストを描いている作家さんが何人も紹介されていた。

わたし自身SF好きで家の電子機器も積極的にいじってたしワープロもパソコン(98NOTE)も父のものがあったけど、家にはマウスすらなく絵は外字エディタで無理やり描いていたぐらいで、コンピュータグラフィックスでコミックイラストを描くことは考えたことがなかった。でもこの本では具体的に「どういう絵をどういう手順で描いているのか」が紹介されていて、初めて実感として「コンピュータで絵を描く」ことを知ることが出来たのだ。しかも好きな作家さんやジャンル(コミックイラストからオリジナルツール、恐竜の3Dまで!)が紹介されていて……

これやりたい、と思った

コンピュータで絵を描いてみたい。今はまだ珍しくても、これからは多分、どんどんこれで絵を描くような世の中になるんだろう。ついでにパソコンの使い方も覚えられるなんていいじゃないか……

ということで、私はこの本でコンピュータグラフィックスに出会ったことでコンピュータの学校に進学することに決めたのだ。

コンピュータの学校に行ってグラフィックだけでなくインターネットとプログラミングに出会って、私のやりたいこともできることもたくさん増えたと思う。インターネットを触っていない私というのは今や考えられないわけで、ではこの本に出会っていなかったらどうなっていたかと考えると怖すぎる。ぜんぜん違う人生と全然違う人に囲まれて生きていたんだろうな。

一冊の本がここまでひとりの何かを変えることがあるんだなと、本棚に今も置いているこの本を見るたびにしみじみ思うのである。

 

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投稿者: AchiFujimura

Blackstrawberry.net管理人藤村阿智の日記と言うか雑記的なページ