これはFedibird Advent Calendar 2019の6日目の記事です。(2019/12/6)
ハトは集団が好きだが集団行動はしない。
「同じ広場に集まった仲間」であることに間違いはないが、そこにどういうハトがいるかを考えたことはなく、自分が加わることで集団になにかの色がつくことも期待しない。ハトはどこでもグレーに見えるだろう。ひとつひとつをよく見れば、確かに個性があるにも関わらずだ。
ハトはいくつも場所を持っている。飛んでいくだけでいつでも環境を変えることができる。
その一つがFedibirdという、鳥が集まる場所だ。
食べ物を食べていても誰も気にしない。
のどを鳴らしても誰も聞いていない。
羽をつくろっても自慢だと揶揄されることもない。
「#Fedibird !」
誰かが声高に宣言した、それは所属をあらわし、自分を見つけてほしいという合図だ。
わたしもそちらを見る。初めて認識する、同じ場所にいた仲間が何かをしゃべっている。
聞くだけ聞いて、みんなそれぞれのやっていたことに戻った。わたしたちはいつでも集団に戻れるし、個を楽しむこともできるのだ。
もっとも、この宇宙に存在するだけでわたしたちは「集団」からのがれられない。
流れる川のように、わたしたちのすべてはどこかへ集約し流れていく。
あまりにも多様で、どこまでも続き、湧き出、この手ですくい上げるものがその中のたった一部だと考えた時、うんざりしてしまう。集団からは逃れられないのに、集団のすべては手に入らないのだ。
「FTL……」
わたしは食事のくちばしを休めて顔を上げ、あきらめたようにつぶやいた。
「では、LTL?」
自問自答した。それもまた一つの手段であり、区切られた集団の小部屋の魅力は十分知っている。
「Fedibird。時々、#Fedibird」
ひとつの解を得て、一瞬胸をはったあと、わたしは食事にもどった。
(おわり)
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